第四章
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「今はやろうと思えば貼れるね」
「ああ、ペーパータトゥー」
「あれを貼ればいいですね」
「それでいけますね」
「本格的にしたいのならね」
バンドの衣装としてだ、そう思うのならというのだ。
「そこまでやってみたらどうかな」
「はい、じゃあ」
「ちょっとやってみます」
「そのモコも」
「それまでしてみます」
「そういうことでね」
クラッドは彼等の温和な笑顔で言った、そしてdった。
実際にメンバーでそのモコもしてみた、当然それはトーマスもだ。彼は衣装合わせてピウピウを着てだった。
モコのペーパータトゥーも貼るとだ、メンバーにこう言われた。
「うん、外見は白人だけれどな」
「完全にマオリ族の女の子だな」
「ピウピウも穿いてるしな」
「完全にそうなってるぜ」
「ううん、何かバンドというよりか」
トーマス自身もだ、鏡で自分の姿を見てからこう言った。
「マオリ族の舞踏チーム」
「それだよな」
「その感じになってるな」
「バンドっていうよりかな」
「そっちだな」
「確かにあっちの血も引いてるからね」
ここでまたハーフであることをだ、彼は自分から言った。
「半分ね」
「そのせいでか」
「白人の顔でもな」
「様になってるんだな」
「そうみたいだね、何か思いついたよ」
ふとだ、そうなったのだった。その思いついたことはというと。
「この服で踊ってみようかな」
「バンドだけじゃなくてか」
「踊りもやってみるか」
「そうするんだな」
「そうしようかな」
こう言うのだった。
「何かね」
「何か目覚めたか?」
「バンド以外にも」
「踊りにも」
「うん、自分でも見ていて面白いから」
そのピウピウ姿がというのだ。
「そうしようかな」
「それもいいんじゃないか?」
「御前がいいんならな」
「そうしてもな」
「別に悪くないだろ」
「うん、完全に男の娘になってるけれど」
それでもとだ、トーマスはバンド仲間にも答えた。
「そっちもやってみるよ」
「マオリ族か、何かな」
ここでだ、メンバーの一人がこんなことを言った。
「深いな」
「だよな、思った以上にな」
「この服だって面白いしな」
「これまではただ昔からこの国に住んでる人達だって思ってたけれどな」
「それが違うな」
「深いものがあるな」
「あの人達には」
「そうだね、それに僕のルーツの一つだし」
トーマスは自分のことも話した。
「大切にしていきたいね」
「じゃあそっちもやってみろよ」
「踊りの方も実際にやるんならな」
「バンド以外にもな」
「そうしてみるよ。ディムみたいにはいかないけれど」
キリ=テ=カナワのことをだ、彼はここでも思った。
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