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サリー
第一章
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                 サリー
 悠久の歴史を持つ国インドには古くからの文化が数多い、しかし最近は。
「服装も変わりましたね」
「最近は特に」
 ニューデリーの小学校で先生達が職員室で話している。
「洋服とかに」
「食べものもな」
「あっちの料理がですね」
「増えてな」
「和食のレストランなんかもあって」
「寿司とかな」
「そうしたものも食べたりするようになって」
 そして、というのだ。
「インド自体も」
「何かと変わったな」
「はい」
「その服も」
 それもだった。
「これまで洋服なんてな」
「とても、でしたね」
「ああ、着てるなんてな」
 洋服を着ている人はというのだ、かつてのインドでは。
「それこそな」
「外国からの人だけで」
「観光客とかな」
「あとは外交官とか」
「軍服はあるさ」
 軍人が着ているそれはというのだ。
「それはな、けれどな」
「他の人がそうした服は」
「着てなかったな」
「そうでしたね、長い間」
「それが変わった」
「本当に」
「皆洋服を着て」
 教師達の間で話していく。
「インド伝統の服はな」
「減ってきていますね」
「伝統文化がな」
「消えていっている」
「そうだな」
「残念なことですね」
「豊かになることはいいさl」
 インドの経済成長はというのだ、洋服もその一貫で海外から様々なものが入ってきていることの一つでもあるのだ。
「それはな、けれどな」
「それでインドの伝統が薄れるのは
「やっぱりな」
「よくありませんね」
「どうもな」
 先生達の間でこうした話をしていた。
 その話を聞いた校長のチャンドラ=グプタはまずは腕を組んで考え込んだ。そして学校の女性教諭の中で最も年長のシーター=アミータラーに相談した。
 アミータラーは黒髪に浅黒い肌、黒い瞳と彫のある顔立ちで太った初老の女性だ。明るく面倒見のいい性格であり生徒達から慕われ同僚達から頼りにされている。家では夫がいて子供が三人いる。
 そのアミータラーを校長室に呼んでだ、グプタはその痩せて髪がすっかり白くなっている外見に相応しい低い声で尋ねた。
「昨今の我が国の服装についてどう思われますか」
「洋服が多いですね」
 アミータラーもこう認識していた、それで言うのだった。
「何かと」
「はい、私達もそうですし」
「所謂スーツで」
 二人共だ、アミータラーは膝までのスカートのそれである。
「そうした服ばかりですね」
「多いですね、本当に」
「我が国伝統の服装はです」
「減っていますね」
 グプタも言うのだった。
「本当に」
「そのことについてですね」
「先生の多くが憂いている様です」
「自国の文化の伝統を守る」
 服装のことからだ、アミー
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