2話 行軍と思惑
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「おまっ、小粋なジョークだと言ってるだろ! なぁ、パティ」
「そこであたしに振るんだ。うーん。どっちかと言うと、あたしはギュランドロス様が無神経だと思うなぁ」
「ぐぬぬ、俺様では無く、エルミナを援護するとは酷い奴だ。三銃士であるならば、俺様の肩を持つべきだろうに」
助けを求めるように三銃士の一人、パティルナ・シンクに話を振るが、あっさりと裏切られる。どちらかと言えば、パティルナはギュランドロスの様に快楽主義的な面もあるが、直前に行っていた会話が会話である。擁護のしようもない。苦笑しながら告げるパティルナに、ギュランドロスは不満そうに声を上げた。とはいえ、本気で怒っているわけではない。
「あらあら、まあまあ。もう、あんまりエルちゃんやパティちゃんに無理言ったらだめですよ」
「そうですよ、ギュランドロス様はもっとデリカシーとか、思慮とか、部下に対する思いやりとか、その他諸々を持ってください!」
「うわぁ、エル姉、ここぞとばかりに日頃の鬱憤を晴らしてる。まぁ、あたしもちょっとぐらいは直した方がいいとは思うけど」
そこで、窘めるように三銃士の最後の一人、ルイーネ・サーキュリーが、口を開く。ギュランドロスの妻でもある彼女は嫋やかな笑みを浮かべ、あらあら駄目よ、と窘めている。それで我が意を得たと持ったのか、エルミナが一気に畳みかける。パティルナも苦笑しながら同意する。
「むぅ……。ここには俺の味方はいないのか。なんてこった、俺の周りにはこんな薄情な奴等ばかりだったのか!」
当のギュランドロスは、そんな事を言いながら、おうおうと嘆く。無論、見るからに演技であり、ワザとやっているのが誰の目にも明らかである。
「と、まぁ、馬鹿な事はこれくらいにしておくとして、気に入らないと言うのならば、試してみると良いぞ」
「え? 試すとは?」
唐突に、嘆くのをやめ、ギュランドロスはエルミナに告げる。当初は張りつめた様子だったエルミナも、いつの間にか毒気を抜かれて、つい問い返してしまった。計画通りと言わんばかりにギュランドロスの口元が吊り上がった。
「丁度、合同訓練をやるんだ。俺が命を助けてまで使おうと思った男の実力を、その目で確かめてみると良い」
「え、あ、はい。確かに良いかもしれません。使えない男だったなら、即座に遠ざけるなり、どうとでもやりようはありますからね」
「おう、そう言う事だ。エルミナが判断するって言うのなら、俺様も安心ってもんだ」
「また、調子の良いことを。でも、良いです。私が、確かめます!」
ギュランドロスの言葉に、エルミナもやる気になったようで、静かに闘志を燃やす。もし相応の実力を示せないならば、追放なりなんなりしてやれば良い。そう思っているのである。そんなエルミナの様子に、ギュラン
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