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あの太陽のように
8話 太陽side
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「太陽がどう考えてるなんて知らんけど、俺は、外に出られるなら死んだっていい」
「…!!」

死んだっていい。
その言葉を聞いた先生は目を見張り、悲しそうにうつむくと、僕達を病室へ帰した。

何だろう。聞きたいことがあるのに、口が開けない。聞いちゃいけないことな気がする。

聞きたい。何のために脱走するんだろう。死んだっていいと思えるほどに外に出たがる、その意味。

「……何も、聞いてこないんだな」
「え、えっと…」
「あぁ言うと、大概のやつは俺のこと避けるけど、お前は何もしないんだな。避けないし、引かないし、聞いてこない」
「…気になる、けど、言いたくないことなら、無理に言わなくていい」
「…そっか。……なぁ、太陽。お前外に出たことあるか?」
「あ、あります、けど…」
「だろうな。……俺は、外に出たことがないんだよ。物心がついた時から、病室にいた」
「え…」

外に出たことがない。
そんなことがあるんだ…。
僕は、祐ちゃん何かより、ずっと、自由な身だった。
僕だけじゃないんだ。

「だからこうして外に出ようとしてんだけどな、今回はあの久遠冬花とかいう研修看護師に一本取られたな…」

苦々しげに舌打ちをする祐ちゃん。

「……じゃあ、祐ちゃん。…いつか、僕が祐ちゃんを外に連れていくよ!!」
「は?つれていくっつったって…どうするつもりだよ?」
「え、えぇっと…僕の病気が治ったら…祐ちゃんのことを連れ去ってみせる」
「…………」

祐ちゃんは呆然とした表情で一瞬フリーズすると、いきなりプッと吹き出した。

「連れ去るって、お前馬鹿か?しかも、病気が治ったらって、お前の病気は治るのかよ」
「そ、それは、分かんないけど、でも、きっと、祐ちゃんを連れて外に出る!!その時は、一緒に…」
「一緒に?」
「サッカーやろう!!」
「………あぁ。―――そうだな」

祐ちゃんは、この時初めて笑った。
とても綺麗な笑顔だった。

思えば、この時に僕は祐ちゃんが、

風間さんのことが、好きになったんだろうな。
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