第十話:彼女等の正体
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ホ設定と相性が良かった」が正解だと思うが、態々口に出せば、コイツは俺への悪口から予想もしない方向へ話をそらさせる可能性が “大いに” 有る。
なので余計な心労を溜めぬ為にも、受け流せる台詞は放っておく事にして、ビンを開けて無糖コーヒー牛乳を飲む。
「でもさー、折角ノートの設定通りだーってのに、何でマリスたんはメープルたんじゃないの?」
「……? ………麟斗」
「ちょっと待ってろ」
またこいつは性懲りもなく意味不明なオリジナル言語を作り出す……いい加減理解されないと気付きやがれ。
楓子の発言に頭を痛くした俺は、頭を軽く振ってからノートの一番最初を見てみる。
そこには……まあ無駄な文章が多いので端折るが、極端にまとめると―――
『天界から逃げてきたマリシエルを含むほか五人の堕天使を追い、メープルも天界から降りてきて地上で《婚約者》をへて、堕天使達を倒すべく行動を開始する』
―――と言う内容であった。
「わかった……つまり楓子の考えた設定が具現化したのなら、追手側であるお前がメープルじゃ無ければおかしいんじゃないか? と言いたいんだコイツは」
「……ありがとう、麟斗。分かりやすい」
「私の説明ってそんなに分からないの!? 舞子ちゃんは分かってくれるのになんムグググゥ」
「黙ってろ」
口を押さえて一旦黙らせ、頭を押さえて姿勢を低くさせた。不毛な質問を続けさせる気など無い。
それに……舞子の奴だって、お前の言っていること “そのもの” を理解しているとは思えないけどな。
マリスはコクコクと頷き、次いで自分の中で出すべき言葉を選び、まとめているのか少し下を向いて、そこから数秒後頭を上げて、楓子の疑問を説明し出す。
「…………聖天使は設定上最強の概念。だから幽霊たちに先に取られてしまった」
「ああ、概念が魂を選んでいるんじゃあ無く、魂が概念を選んでいたのか……考えてみればそうだな」
「……だから、私には設定上最も弱い、殺戮の天使しか残っていなかった」
説明は終えたかマリスは俺の方を向く。
人形のように表情は全くないが、しかしその眼は決して虚ろでは無く、透明だと言う感想が真っ先に浮かぶ、不思議な眼だった。
そして先まで、自発的かそうでないかに関わらず喋ってくれていたのに、急に黙りこくってしまう。
楓子は《?》と小首を傾げていたが、俺は何を言いたいか理解した。
「設定上最弱ならばどの堕天使にも勝てない。聖天使なんか論外だな。そうなると役目を果たすどころか暴走も止められねえ」
「……だから、私には《婚約者》が必要。……なのに、何故か《婚約》出来ない」
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