第十話:彼女等の正体
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ヘブンズドア》】という、天空より極大の光束を呼び寄せ、降り注がせた効果対象を消去する、東京タワーすら一瞬で消し飛ばす究極絶技がある”
―――等と平気で書かれている。
焦げていて読めない部分も多いが、《何が書かれているか》は分からずとも、《何かが書かれている》のは分かる。
だからこそ疑問に思ったのはメープルの強さだ。
コイツだけえらく色々書かれており、しかも能力の系統が一種類じゃあ無く、数少なく一部のみだが応用法まで書いてある。
しかも主人公なんだろコイツ、触りを見るに。……バランスを考えやがれ。
行き過ぎたメープルは勿論の事、彼女に劣るだけで他五人もえらく出鱈目な事が書かれており、詰る所ゴジラにヘドラ、キングギドラにビオランテ、デストロイアまで一辺に野へ放った様なもの。
文章で表せば何とも陳腐で、物語の中ならばどうぞご勝手にと言えるが、それが現実に現れてしまったとなると話は違う。
まだあの天使モドキであるメープルが何をたくらんでいるのかは窺い知れないが、最悪死神に追われて溜まりにたまった鬱憤を晴らすべくとしていた場合、死人がどれだけ出るのか想像もつかない。
そしてそんな威力では放たれてしまうと、まず此方では止めようがない……何ともキツい話だ。
「話は大体分かった……お前が顕現した理由は、あの五体を捕まえる事か。そうなるとあいつ等は死神じゃあ無く―――」
「……成仏出来ぬ魂……即ち幽霊」
「で、逃げ回っていたその五人が、概念を借りてこれ幸いと生き返ったか」
「……その通り」
まったく別の存在となってしまったのなら、正しくは生まれ変わったと言うべきか。
「……あなた達の単位で表すと七時五十分二十八秒。強い盲執と聖なる炎……相反する二つが混ざり合う気配を感じた。……その気配に釣られたのか、五人の少女が引き寄せられ、概念を借りてその身にまとい肉体とした」
マリスの子の説明で俺が提示した三つの事柄は解決し、同時に俺が突拍子もないと考えていた推測が、見事に当たってしまっていた事が分かった。
本当に当てずっぽうだったのだが、まさか真実に近い答えだったとは……世の中何が起こるか、分からないものだ。
「だが、幽霊は沢山居るんだったな? 何故そいつ等だけ転生出来た?」
「……距離的な近さの他に、心理的近さも最大の要因たる一つと考えられる」
「心理的……ああ、漫画やアニメを好んでいたと」
「……正解」
「要するに私のノートの素晴らしさを一番理解できたのが、その五人だったって訳だね!」
何が理由で上機嫌となったか、楓子は偉そうに踏ん反り返って鼻を鳴らす。
俺としては 「痛々しいオタク気質でア
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