第九話:殺戮の天使
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る気なのだろうか?
皆目見当がつかないな。
そう思っている内に近寄ってきた。
「……何故? 何故《婚約》出来ない?」
「……はぁ?」
何を言っているのだろうかコイツは。
エンゲージって単語だけで不吉な感じが満載だが、それは兎も角言い草からしてお前から何かを起こすのではないのか?
それに俺はこの状況の根源たる、楓子のノートの内容をさっぱり知らないのだから、何故かと聞かれた所で知る訳無い。
またお互いに睨みあう……と、その空気は行き成りぶち壊された。
「マッリスた〜〜〜ん?」
「……あっ」
そーっと音をたてずに回り込んでいた楓子が、マリスとかいう名前らしい殺戮の天使に背後から抱きついたのだ。
如何でもいいがコイツ、さっきから触れる度に悩ましげな声を上げているのは、一体何の理由があるんだ。
こっちだって健全な男子高校生だ。異質な状況のお陰で大分緩和されているが、それでも嫌な気分になったりはするんだぞ……?
「うふふぅ、滑々プニュプニュだぁ」
「……ん」
こいつ等のやり取りを見ていると一気に馬鹿らしくなり、一旦考えるのは置いておいて、親父の重さでヒィヒィ言いながら歩いているお袋の方を見やる。
「はぁ……帰るぞ」
「はーい! マリスたんもくるよね!」
「……ん……話したい事がある」
声だけは調子のいい返事と、平坦且つ平坦な返答を聞き、俺は親父の方へと向かう。そして肩を貸しながら家の方へと足を進めるのだった。
……この日が、俺の非日常の始まりと、《人であることの終わり》を告げる、運命の日だった。
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