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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第九話:殺戮の天使
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ぎゃあと何やら声高に騒いでいる。

 気に食わなかったのは確かだが、アイツにだけは共感して欲しく無かった。


「ククク……恐ろしい人もいるし、此方は諦めるとしようかしら」


 此方は―――その言葉の意味を理解するのに時間はいらなかった。

 何せライトセイバーの様な剣を持ち、その切っ先を楓子へ向けていたのだから。


「低出力モードだから痺れるだけよ。少しの間、大人しくしてて貰うわね?」


 笑い方に雰囲気、やり口がまるで人の想像する天使のそれでは無く、また何故楓子が狙われているかも分からず、俺は一瞬思考も動きも止まる。

 だが……天使もどきが飛び出す前に、親父の拳が炸裂した。まるでスーパーボールのように、天使モドキの体は吹き飛んで行く。


「娘に手は出させん!!」


 その光景を見て思う……何で塩を持ってきた親父? 殴った方が早いじゃねぇか……!

 しかしながら、天使も天使でやられるがままでは無い。空中で体を捻ると綺麗に着地し、不敵にほほ笑んだのと同時、身体を青白い氷の結晶にも似た粒子と、同色の輝きが包み込んだ。


「え、【天使の(エンジェリック)羽衣(オーラ)】キタァーーーーッ!」
「……知っているのか?」
「勿論! あたし達と変わらない肉体構造を持つ天使や堕天使達が、激しい戦闘にも耐えうるよう生み出し纏う、光の結界なの!」
「…………いやまて。そもそも何で知っている?」
「だってあたしの書いたノートにある設定だもん!」


 その言葉を聞いて俺は絶句した。


 つまり今まで現れていたのは、恐らく今朝見かけた時点クラスの大学ノートに書きこまれている、邪気眼系中二病満載な設定と、ほぼ同じモノ……否 “者” らしいのだ。

 コレこそ本当に冗談じゃない。下手すれば考え無しに書かれた強力な設定や、余りにも破壊力がぶっ飛んだ技が、現実に具現化してしまったと言う事になる。
 もしさっき逃げてしまった奴等の中にそんな化物クラスが居たら……もしキキとかいう奴の暴れるって言う意味が破壊なら……もう眼もあてられない……!


「ふん! ふん!! ふん!! ふぬぅぅぅっ!!!」
「ウフフフ……」


 砲弾に勝るとも劣らない威力の右フックから左フックの連続技、それにつなげてモンゴリアンチョップに左ハイキックを加え、シャイニングウィザードまで叩き込んだ。

 打撃が一つ振るわれる度、空気が震え轟音が鳴り響く。


「無駄無駄、無駄よ……クククク」
「ぬぅぅっ! 本当に利かんとは……!」


 しかし、【天使の羽衣】とやらに守られているらしい天使には、傷どころか痣一つのこっていない。

 やっぱり無茶苦茶な設定だったか……余計なもん書き綴
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