暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第199話 真名
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いるが、もう片方は違う」
「え? 違うって?」
「いや、間違いないと思うぞ。リュウキ。銃士Xさんは、マスケティアさんは オレが合ってるんだし」

 シノンと、キリトがそう言うと同時に、再びリュウキは首を振った。

「違う、と言ったのは、呼び方だ。アイツの名は《スティーブン》じゃない。スティーブンなら、綴りは《Steven》になるだろ? アイツのは《Sterben》だ」

 一字一字を発音よく言うリュウキ。だけど、キリトは少しだけ反論した。

「それって、スペルミスじゃないか? オレは英語得意って訳じゃないが……、そんな単語、他に無かった気がするが」
「うん。私もミスだと思って、《スティーブン》って読んでた」

 シノンもキリトに同意した。だけど、リュウキは 首を1度、振った後に 再び左右に振る。

「……キリトの言った事は間違っていない。英語で あの綴りの単語は無いからな」
「え……? ならどう言う」
「………」

 キリトとシノン。
 2人は、リュウキから 真の名を訊いたその時、再び悪寒が身体を突き抜ける事になった。

「あれは 《ドイツ語》だ。……読み方は《Sterben(ステルベン)》。意味は《死》。……日本では医療関係の用語として使われる言葉、だ。……らしい付け方だ」

 リュウキは、正直な所、不愉快極まりない事だった。自身の存在を恐れさせるが故に、つけた名前なのだろう事が判ったからだ。

 だが、同時に疑問符も浮かぶ。

 片方のスティーブン、改め ステルベン。これはドイツ語だ。マルチリンガルであろうあの男だったが、主に使っていたのは英語だ。話した事は少ないが、ドイツ語はこれまでで、使っていた気配はなかった。
 確証がある訳ではないが、恐らくは医療関係用語の方で、知り、そして使ったのだろう。

 ……それならば、見えてくる答え(・・・・・・・)もまた、有るから。 


「悪趣味な連中、だな。相変わらず。まだ SAOで使ってた名前の方が可愛気があるってもんだ。……ま、覚えてないが」
「………だな。片方は 最後まで判らなかったし」

 苦笑いをする2人。 

 一瞬だけ、《死》と言う意味をもつ《Sterben》。それを訊いて寒気が、悪寒が走ったが 今更 名前だけで怖気付いたりする者はこの場には誰ひとりとしていなかった。それは勿論シノンも。

「それじゃあ、最後の……死神の名前は、《赤羊》って事。こっちはなんなのかな?」

 シノンは、そう疑問を言っていた。
 正直な所、《死神》の異名を持つのであれば、その名前(ステルベン)は そちら側が相応しいと思ってしまう。どっちも死銃(デスガン)と言う人を殺す事をしているから、一概には言えないし、どっちもどっちだが、それ
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