暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第199話 真名
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まぁ バレた所で ゲーム内の連中に伝える事は不可能。……考えたくないが、シノンが無事な以上、何かをしてくるとも思えない」

 慌てているキリトと、極めて冷静なリュウキ。本当に対照的な2人だった。それを見てシノンは、苦笑して。

「大丈夫、大声で叫ばない限りは音声は拾わない。そんな小声まで拾ってたら、銃声が鳴り響いた時、向こうじゃ 壮絶な音響が響いちゃうしね。――いっそ、手でも振ったら?」

 そして、少し、ほんの少しだけ 声のボリュームを下げながら続けた。

「……それに、この映像を見られて困る相手でも、いるの?」

 これは、キリトではなく、リュウキに対しての言葉だった。密着しているのはリュウキだから、といえばそうだろう。リュウキは、眼をパチパチ、と瞬きをさせながら 考える。

「ん…… 困る? 何故だ?」

 わかっていない様に 首をかしげるリュウキ。それを訊いたシノンは どう反応して、表現していいのか 判らなかった。彼女はそこまではまだ、考えていなかったが、ここでの100点満点の回答は『いない』に限るだろう。だけど、彼女はリュウキと言う男の性質を知らなかったから。

「あー…… あのな? りゅーき君、盛大にヤキモチ妬かれる姿が目に浮かぶんだが……。そりゃもう、これまでで、トップクラスの」

 頭をかきながらそう言うキリト。この時ばかりは、成長しきっていない弟を見ている気分になる。リュウキも、色々と経験をしてきているから、判る筈だと思っていたのに、と苦言を思う。

「………」

 シノンは、複雑だった。
 ……正直な所、この世界で出会っただけの相手。そんな思いいれをする方が、客観的にはどうかと思うし、以前までの自分だったら特にだ。
 ……だけど、そんな単純な事じゃない。自身の過去を知っても尚、迷う事なく、『手くらい、幾らでも繋いでやる』と言ってくれて、掴んでくれたんだから。

 でも、この世界でいる以上、今はどうしようもない。

「何言ってるんだ? まぁ……、そう言われれば確かにそう思うが、考えても見ろ。今のアバターは オレとは程遠いだろ?」
「あ、そう言えばそうだった。……って事は、 シノンの方が厄介な事になるんじゃないか? ここにいるのは……その、3人とも女の子って 認識されてるんだし………」

 自分で言っても本当に複雑な事を口にしているキリト。今大会が始まる前に、『すぅぱぁ・がぁる』等という、実際には、不名誉極まりない言葉を受けたのだから。

 シノンも当然ながら、それに改めて気づいた。確かに言われればその通りだ。複雑なのは変わりない事だが、いずれ厄介な弁明を強いられることになるのも複雑だ。

 だけど、全ては今 無事にこの状況を乗り切ってからだ、とシノンは短く鼻を鳴らしていっ
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