その9
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はどこにもない。
ナルトを男と信じて心を許していたに違いない。
それが異性だと知った衝撃はいかほどか。
もはや遠い感慨となってしまったが、思い出せなくもない戸惑い混じりの若い頃の気持ちを思い出し、自来也は生暖かい表情で少年を眺め始めた。
少年の混乱はとても面白い。
ある意味次回作の取材に持ってこいだ。
「さあのォ。坊主に心当たりがなければ、ワシは何も言えんがのォ」
自来也の言葉に動きを止めて、じわじわと頬を染めていく少年の姿に、ふっと笑みがこぼれ落ちた。
「まあ、ワシは長い事里を離れておったから、良くは知らんがのォ。それはともかく、坊主。お前、うちはフガクとミコトの子じゃな?」
「それがどうした!」
自分に対する拒絶を乗せて睨みつけてくる少年に思わぬ所がないわけではない。
だが、紛れもなくこの少年はナルトが心を許し、護ろうとしている少年だ。
そして、この里をナルトから護る切り札になるかもしれない存在だ。
その為に自来也にナルト自身が差し出したようなものだ。
ナルト本人にそんな気はなかったのだとしても。
謀から切っても切る事の出来ない忍びとしての性分に苦笑しながら、自来也は少年に名乗りを上げた。
「そうか。ならばお前の身柄はこの自来也が預かる。この里で三忍と呼ばれるこのワシの名付け児が泣くからの。お前も聞いておったろう。お前の身に降りかかった災いに鳴き叫ぶこの子の叫びをな」
そう告げた途端、反感に顔を歪ませ、ナルトの事に思い至り、複雑な表情に変わっていく少年に自来也は笑いかけた。
「その代りと言ってはなんだがの、坊主を見込んで頼みがある」
「……何だよ」
「ワシは長く里に留まる事はできん。やらねばならん事があるからのォ。どれほど望んでもこの子の側に居続ける事は出来ん。そこでの、お前に頼みがある」
察しが良い少年はそこで自来也の言いたい事を飲み込んだらしい。
先手を取って、反感を叩きつけてきた。
「だからオレにそいつの側に居ろっていうのか!?なんでオレが!それにそいつは女なんだろ!?女の側になんかいられるか!!」
少年らしい青臭い反応に、自来也は目を細めた。
負けん気の強さはうちはらしい。
だからこそ、ナルトの側に引き込んでおきたかった。
「そうか。無理にとは言わん。女一人護れる自信もない子供に持ちかける話ではなかったのォ。すまんな、坊主。ワシの話は忘れてくれ。何、おぬしの身柄は保証する。ナルトにお前の事を頼まれたからのォ。便宜は図ってやる。今後を案じる必要はない」
自来也の言葉に少年の瞳が怒りに燃える。
だが、その怒りを鋭い一瞥でもって自来也は押さえつけた。
「よもやワシの申し出が不足だとでもいう気ではなかろうな?」
自来也の言葉に
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