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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
対峙
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ない。
否、手加減する方がおかしかったのだ。
かつての六王第三席を圧倒するほどの強者。おそらくユウキ相手など本気すら出していない。
―――本気で……全力で!
頭蓋骨の裏側に異様な熱が籠る。
一段どころか、数段スッ飛ばして意識を加速させた少女は、手の中に溢れた過剰光が眩いほどの光を放ったことを視界の片隅で確認した。
《絶剣》の持つ、ただ唯一の心意技。
「
聖母十字
(
マザーズ・ロザリオ
)
おおぉぉぉォォ――――ッ!!」
十字の閃光が。
炸裂する。
赤寄りとも青寄りとも言い難い紫紺色の輝きが視界を塗り潰し、たっぷりとした余韻を残して引いていく。
遠くのビルか何かを粉砕したのか、ガラガラという落下音が辛うじて応えを返した。
ユウキの持つ唯一の心意技《
聖母十字
(
マザーズ・ロザリオ
)
》は、第一象限『範囲を対象とする正の心意』だ。内包する属性は、《射程距離拡張》と《攻撃威力拡張》。
システムを超越したその一撃一撃は、下手な拳銃の射程より遠く、苛烈な攻撃を与えることができる。その威力のほどは、ALOでの決戦で群がってくる守護ガーディアンの肉の壁を丸ごと粉砕し、その後ろの発生装置を破壊したほどだ。
――――だが。
アスファルトが溶岩に変貌しているオレンジ色の地獄。
そこから立ち昇る白い臭気を振り払うように、薙ぎ払うようにして、小さな人影が姿を現す。
くすくす、と。
いつもの、人を見下すような、嘲るように軽薄な嗤い声を響かせながら。
「
そ
(
・
)
れ
(
・
)
で
(
・
)
?」
ノドが、干上がった。
防御すら行われなかった、という事実が、毒のように少女の心を犯す。
嘘、という呟きは小さく零れ落ち、熱されたアスファルトの上に吸い込まれた。かき乱された心は、混乱した脳は、正常な応えを返さない。
フェイバルは、歩みを止めない。
仮面の下で浮かべる薄ら笑いの音が、ぐつぐつと煮えたぎる地面の音を背景にしてもゾッとするほど鮮明に響く。
「………………………………ぁ」
じゃり、と。
足元で音がする。
それが後退りした結果だということを理解するのに、脳に染み渡るのに、どれくらい時間が経ったろう。
「くすくす……来たかい」
くぐもったその声の意味するところが分からず、一瞬小首を傾げようとした――――
瞬間。
ゴッッッッッッッッッンンン――――ッッ!!!!!!
真横から飛来した莫大な衝撃波が、たった今溶岩の中から這い上がってきたフェイバルを叩いた。
大鐘楼が打ち鳴らされたような、野蛮だがどこか美しい空気の悲鳴が轟くと同時、ユウキの一撃をノーガードで受けても欠片も動じなか
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