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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第198話 戦う勇気
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オレが。……オレ達がついている」
リュウキの言葉が、ゆっくりとシノンの身体に入ってくる。そして、その声と共にリュウキの鼓動も訊こえてくる。規則正しく刻むその鼓動を必死に耳を澄ませた。狂騒的なアグロで喚くシノンの心臓を、リュウキの穏やかささえ醸し出しているリュウキの心臓の鼓動でメトロノームのようにそっと宥めていくのだった。
そんな光景を間近で目の当たりにしている者が勿論、リュウキ以外にもいる。
「(……オレ、今 空気だ………、ぜったい……)」
直ぐ横で見ていたキリトは、決して口には出さないものの、何処かドラマチックさが出ているこの空気を感じ、まるで映画の中の世界にでも入り込んだ感覚がしていた。世の男であれば、なんとも羨ましささえ出るシチュエーションだと思えるだろう。見ていたのが、あの悪趣味な赤いバンダナをしている刀使いであれば、盛大に苦言を、そして地団駄を踏んでいる事だろう。
だが、キリトはそうは思わない。……間違いなく自分の背後に目を光らせている女性の顔が目に浮かぶから、と言うのは野暮だ。
その点 リュウキも同じ筈なのだが、性質が違う。
所謂、下心が一切無い彼だから。だから いつもは彼女がヤキモチを妬いてしまう、と言うパターンしか無いのだ。……彼女にしてみればたまったもんじゃないと思われるが、その姿が本当に愛らしいのは 周知の事実だから 恒例行事となってしまっている感がある。
……と言うより、話を戻すが、間違いなく、自分はいてもいなくてもイイ様な感じ、殆ど空気だ。
リュウキが、言っていた言葉『オレ達がついている』
確かにその中の《達》は複数形だから、自分も含まれている。そのおかげで 客観的に見ていたこの世界を現実の者とすることができていた。
シノンが我を忘れ、恐怖のあまり 強制ログアウトになりかけた時、キリトも慌てて止めようと、落ち着かせよう思った。大きな声で、叫ぶ様に言おうと思ったのだが、それはリュウキに制された。妄りに大声をあげる事は、確かに頭に響くかもしれないが、精神の安寧を得られるか? と言われれば必ずしもそうじゃない。
――……自身が震えている時に、その震えを止めてくれたのは、他者の温もりだった。
キリト自身も、そのことはよく判っている。……あの世界で生まれた絆、最愛の人から教わったから。
それはリュウキも重々であり、寧ろ誰よりも深い闇を背負っていた彼だからこそ、人と人とのつながりを殆どもたなかった彼だからこそ、深く心に刻みつけたのかもしれなかった。
だからこそ、直ぐに行動にうつせたんだとキリトは思えた。男が女を抱きしめる事の難しさは、キリトもよく知っているから。
やがて、シノンの激しい動悸が収まっていくかの様に、震えてい
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