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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第198話 戦う勇気
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『何故、彼は自分の名前を知っている?』 と。
あの時は、確か 名前までは言っていなかった筈だった。《朝田》と言う名字しか。だけど、彼は続けた。
『そのまま、ゆっくり、ゆっくり。落ち着いて。……深く呼吸をするんだ。シノン』
『あっ……ぁ……っ』
いつの間にか、彼は自分を包み込む様に 抱きしめてくれたのだ。
光が、遠ざかる感覚がしていた身体に、まるで押しとどめてくれているかの様に、彼は強く自身の身体を抱きしめてくれた。
そして、世界は再び一転する。
次に目の前に映し出された光景。……そこは、薄暗い岩と砂で出来た洞窟内だった。
「頑張れ。……今は大丈夫だ。シノン オレが、オレ達が必ずアイツを倒す。そうすれば全てが終わる。……だけど、今自動切断するのが一番危険なんだ。奴らの顔を見てしまう可能性がある」
耳元で、訊こえてくる声。決して 大きな声ではない。だけど、身体の中にまで、頭にまで響いてくるかの様だった。
シノンは、失われていた感覚を取り戻す事が出来た。いつの間にか、自分の身体は リュウキの身体に包まれていた。
アバターの大きさを考えれば、決して大きくないその身体だ。だけど、自分の全てを包んでくれているかの様な抱擁を感じた。
「あっ……あっ……」
焦点が合わなかった眼も、やがて 揃っていく。動くようになった両手は、無我夢中でその温もりを求めて力を込める。そして その力に答える様に 彼の力も増す。しっかりと繋ぎ止めるように力が込められた。
「……死銃のあのハンドガン。
黒星
(
ヘイシン
)
に撃たれるまで、そいつは何も出来ない。それがアイツ等が定めた制約だ。愚かな事だが、それでも それがあるからこそ、シノンは大丈夫なんだ。……だけど、心拍や体温異常、バイタルデータの異常値で 自動ログアウトをしてしまって、侵入者の顔を見てしまう事の方が危険なんだ。……だから、落ち着いてくれ」
リュウキは、シノンの髪をゆっくりと撫でた。ゆっくり、ゆっくり、震えが収まる様に。
「で、でも……」
シノンは、首を振った。
「こ、怖い……怖いよ……っ」
それは、まるで子供の様に訴えていた。
誌乃の幼少期は、子供らしい子供ではなかった。父親を、失った母は精神的に幼児化傾向に陥ってしまった。そんな母を見て、守らなければならないと強く思ってしまったからか、ここまで子供の様に甘える様な事は、これまでに殆ど無かった。……いや、全く無かったかもしれない。
誌乃としての自我を持ち始めた年齢から 考えても……まるで記憶になかった。
「大丈夫だ。……シノンはもう、1人じゃないんだ。オレの手を取ってくれた。……そして、オレの震えだって止めてくれた。
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