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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第198話 戦う勇気
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・》である自分。それを見せられただけで、動けなくなってしまう。
吐き気が、込み上げてくる。再び呼吸を思い出す。苦しみが再び全身を襲ってくる。だけど、どうする事も出来ない。立ち尽くしていた誌乃は、腰を抜かせた様に倒れ込んだ。
『あっ……あっ……』
焦点が合わないのにも関わらず、遠藤達の顔ははっきりと見る事は出来る。
そして、遠藤達を押しのけて……いや、彼女達がまるで仕えているかの様に、道を開けて。あの死銃が出てきた。
その手には、
黒星
(
ヘイシン
)
が握られて……。
『い、いやっ……いやぁぁっ……』
涙が流れ出る。涙腺が崩壊してしまったかの様に、涙だけじゃない。涎も一緒に出てきてしまい、止める事が出来ない。胃酸が逆流し、喉が焼ける様に痛くなる。凡ゆる痛みが現実となって襲いかかってくるのだ。
『あさだぁ〜……』
この時、遠藤の幻視だけではなく、追い打ちをかける様に、その幻聴までもが聞えて来たのだ。
『そうさ。お前は死ぬんだよ……。あっははっ この銃でなぁ……。良い気味じゃねぇか』
歪む顔。……邪悪に歪む顔で向けられる明確な殺意。それに反応して 死銃が銃を構えた。向けられた銃は、確実に額を狙っている。
そう、あの時の男に、誌乃が男を打ち抜いた場所と全く同じ場所だった。
『………イッツ・ショウ・タイム。死銃伝説の、花と、散れ。……シノン』
いつか訊いた声。
死銃の声……、そして 向けられた銃口から、人を殺しうる弾丸が放たれる刹那。
――もう、ダメ。何も見えないし、何も感じない。……私は死ぬんだ。
誌乃が、シノンが 全てを諦めてしまったその時だった。
――たった1人相手に、これだけの人数。感心しないな。
声が、声が聞えてきたのだ。
『っ!』
死銃は、驚き振り向こうとしたが。身体は押さえ付けられた。
向けられた銃も、弾き飛ばされてしまい、その身体も同時に吹き飛ばした。遠藤達も、それは同様であり、抵抗している様だが、全く意味を成さず、そのまま 倒れ込んでしまっていた。
『……大丈夫、か?』
『ぁ……ぁぁ……っ』
誌乃は、シノンは……この時、漸く思い出す事が出来た。
そう あの時も、そして今も、
彼
(
・
)
が また 助けてくれたんだ。
でも、あの時は何も礼はできなかった。何も言う事が出来なかった。だから、今は……と誌乃は思っていたのだが、どうしても声が出なかった。少しも出なかった。負の連鎖、痛みが体中を這い回っているのだ。まるで、蛇の様に……。
『……落ち着け。大丈夫だ。
シノン
(
・・・
)
』
『っっ!!』
誌乃は、シノンは 驚愕する。衰退しかけていた脳が急速に回転する。
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