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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第198話 戦う勇気
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キリトの方を向いて、確認を取る。
キリトは、頷いていた。間違いない、と言っているのだ。
「つまり、準備が完了している、と言う事なんだ」
――ジュンビ? じゅんび? ……準備?
シノンの頭の中で、その単語の意味を必死に検索をかけた。普段であれば一秒にも満たない時間で出てくるであろう、その言葉の意味。だが、彼女の中では、まるで永久に感じる程に、時間がかかってしまっていたのだ。
やがて、掠れた、殆ど声にならない声で、尋ねる。
「準備、……って、何の……」
シノンの状態は、一目瞭然だった。かなり動揺をしている事、そして その先に何があるのかももう判っているであろう事も。
だけど、ここまで来たら もう言わない訳にはいかない。
「……今。この瞬間に『現実世界の君の部屋に死銃と死神の共犯者が侵入して、大会中継画面で君があの銃に撃たれるのを待っている』――と言う可能性が高いんだ。……限りなく」
落ち着かせる為に、気の利いた言い回し方など、思いつくはずも無い。どう言い繕っても、今もシノンの傍には、
殺人鬼
(
・・・
)
がいる筈なんだ。そうでなければ説明がつかない事が多すぎる。逆に、そうであれば、今回の死銃の事件、その全てが繋がるのだ。
――……シノンは、告げられた言葉が意味を成す形となって意識に浸透する。
その長い時間は、体感時間は、先ほどの《準備》と言う単語を検索していた時間よりも、遥かに長い。すぅっ と周囲の光景が薄れていく。目の前でいる筈のリュウキの顔も消え失せる。
そこは見慣れた自分の部屋だった。まるで、幻視の様に高い位置から、六畳の部屋を見下ろしていた。
こまめに掃除機をかけているフローリング風のフロアタイルと淡い黄色のラグマット。小さな木製テーブル。西川の壁に面して、黒いライティングデスク、そして同じく黒いパイプベッドが並べられている。飾り気のないシーツも。全てが見慣れた光景。いつも見ている見てきているから。
そして、明らかにいつもとは違う光景が
見える
(
・・・
)
。
それは、自分が見下ろしていると言うのに、自分自身が、ベッドで横たわっている自分自身の姿が見える。トレーナーとショートパンツ姿で、無防備に横たわっている自分。額には、今の自分を縛っていると言っていい金属環で構成された
機械
(
アミュスフィア
)
が装着されている。
そして、何よりも違うのが、その傍にいる
何か
(
・・
)
。
ひっそりと、まるで亡霊の様に自分の傍で佇んでいる。眠っている
誌乃
(
じぶん
)
を覗き込んで
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