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閃の軌跡 ー辺境の復讐者ー
第21話〜白銀の狼〜
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が一致しているため、メンバーの大半が彼女を訝ってはいるが共闘することになった。

「あ、あれは?!」

早速目的地である石切り場に向かおうとした時、エマが驚いたような声で一同の正面を指差す。騎士型の人形兵器が音もなく出現していた。黄金の甲冑に身を包むそれは、その巨体からは考えられないほど驚異的な速度でケインに巨剣を振り下ろしてくる。対する彼も目にも留まらぬ速さで背の鞘から抜いた引き抜いた黒剣で、攻撃の軌道を逸らす。空を切った騎士の剣で地面が軽く抉れた。最も近くにいたエマが短い悲鳴を上げる。

「リィン、君たちはミリアムを連れて一度集落に戻るんだ!」

「いいや一人じゃ危険だ。俺たちにも・・・」

「私も残ろう。だから、ここは任せてくれ」

「ッ!分かった!皆、行くぞ!」

仲間を置いていくことに苦悶の表情を示すリィンだが、襲撃事件を起こしたテロリストの存在だけでもイヴン長老たちやゼクス中将に伝える必要があるため、リィンは残りの一同とミリアムに呼びかけた。
馬が駆ける音を確認した後、右側を一瞥すると、紅き大剣を構えて地を焦がさん勢いで闘志を燃やしているアレスの姿があった。彼がいれば百人、いや千人力だ。それに、敵である騎士の力を考えると一人では手こずるかもしれない。襲撃事件を起こしたテロリスト戦のためにも、ここは迅速に片付ける必要がある。

「突然ですまないが、ここは任せてもらえないだろうか?」

「アレスがそう言うなら。けど、無茶だけはしないでくれ」

「承知した」

アレスが真剣な声音でそう言ったため、何か秘策があるのだろうと考えたケインはアレスに一任した。次の瞬間、ケインの耳元で風切り音が鳴ったかと思うと、眼前の騎士が数十メートル先まで後退していた。

(今、何が・・・アレス?)

後退した騎士とそれに相対するケインの間に立っていたのは翡翠色の雷を纏う、白銀の狼だった。銀狼の雄叫びが大地に木霊し、騎士は大剣で防御体制を取る。今度は辛うじて見えたケインは、アレスが直進して正拳を叩き込んでいたことを知った。騎士は攻撃態勢に入るか入らないかの内に大剣を盾にしていた。剣を振りかぶる暇もないようだ。

「・・・来るがよかろう」

(普通にしゃべるのかよ)

騎士と一定の距離を取った狼男もといアレスは、普段と変わらない口調で挑発までし始める。尋常ではない姿をしているが理性は正常に働いているようだ。ケインは彼が喋ったことに脳内でツッコミを入れつつも、これだけの力を制御できていることに感心していた。
攻撃すらできない木偶の騎士へ目にも留まらぬ速さで東方の武術<<泰斗流>>を基盤とした格闘技を叩き込んでいく迅狼。右拳と左拳の殴打からサマーソルトキックで跳躍。そこから兜へ踵落としを入れ、宙返りして再び距離を取
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