暁 〜小説投稿サイト〜
DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH 〜我が身は誰かの為に〜
Chapter2「父を探して 山科悠子の依頼」
Story7:初仕事はご近所回り
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御神楽さんの説明によると……
 先程触っていた右手―――詳しくはその右手にいつもはめていたグローブで、物質的なものをスキャンすることで、対象を「半電脳化して取得することができる」機能らしい。

 これによって、現実世界で手に入れたものを「データとして電脳世界に持ち込める」のだと。


「……え、それってすごいことじゃないですか!?」

「取得したデータは、あなたが腰に付けている『それ』―――その『かばん(ストレージ)』に格納されるわ
 本当に…便利な世の中になったものね」

「……それ、世の中のせいじゃないんじゃ…?」


 そう言うと、御神楽さんは呆れた表情を浮かべ、首を左右に振った。


「これくらいのことでいちいち驚かないで欲しいわ。今後も、あなたの身には次々と―――」


 そこまで言い終えて、御神楽さんは小さく笑みを浮かべ、再び首を振った。


「…いえ、未来(さき)のことは知らない方がいいわね。すべては定められた運命が導くままに…ね。ここからコネクトジャンプすれば、デジラボに直接来られるようにしておくわ。私に用があるときは、いつでも来なさい」

「は、はい…わかりました」


 俺の返事を聞くと、彼女は笑みを消し自分のメガネに手を添えた。


「この世界はデジタルとの境界線が希薄になっているようね…。私があなたと現実世界で出会えたのも、その証明の一つだわ。
 でもそれは、決して世界にとって良い出来事ではないはず……きっとこれから起こる災厄の兆しの前兆ね。あなたとの出会いが、この世界の希望の光となると良いのだけれど……」

「災厄の…兆しの、前兆…? 世界の、希望の光…?」


 なんか話が壮大になってきたような……


「フフ…この世界は私を楽しませてくれるのかしら? それじゃ…“いつもの場所(デジラボ)”で会いましょう」


 そう言うと笑みを浮かべ、彼女は相談屋の奥へと消えようとする。


「―――ちょっと、待ってくれませんか?」


 だがその前に、俺が御神楽さんを引き留めた。
 彼女は素直に立ち止まり、踵を返した。どうしても、これだけは聞いておきたい。


「あなたは……何者なんですか?」


 俺の、真剣な質問に、彼女は笑みを浮かべたまま口を開いた。


「フフッ、私は人よりちょっと電脳世界の構造に詳しいだけ。それに……あまり女性の秘密を知りたがるのは、感心しないわね。紳士のすることじゃないわよ?」

「うッ……」

「フフ……それじゃ、また会いましょう」


 彼女はそう言って、再び踵を返しお店の奥へと消えていった。
 女性の秘密、ねぇ……“A secret makes a woman woman.”っ
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