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DIGIMONSTORY CYBERSLEUTH 〜我が身は誰かの為に〜
Chapter2「父を探して 山科悠子の依頼」
Story7:初仕事はご近所回り
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 流石にもうあんな思いはしたくないので、暮海さんのお誘いは丁重にお断りさせてもらう。
 すると、彼女は何故だか意外そうな表情を浮かべ、俺を見てきた。


「ほう、自分で淹れられるのか。キミの珈琲がどんなものか、飲んでみたいものだが」

「そんなの、普通のコーヒーですよ。普通の」


 あなたの作るコーヒーに比べれば、全て普通のコーヒーだ。
 そう言いたかったが、何故か言うべきではないなと決断し、口には出さなかった。

 そんな俺に対し、暮海さんは「それはそうと…」と話題を切り替えてきた。


「来てもらって早速なのだが、キミにやってもらいたいことがある。電脳探偵としての記念すべき最初の任務だ」

「任務…依頼じゃないんですね」

「何、まだ初めて一日も経っていないのだ。そんな急に依頼をさせる程、私も鬼ではないよ」


 あんなコーヒーを飲ませるのに、鬼ではないのか……


「ともかく、最初の任務は……拠点となる、ここ中野内にある各施設への挨拶回りだ」

「挨拶回りですか…まるで引っ越しでもしたみたいですね」

「まぁ似たようなものだろう。これから何かと世話になることが多くなるはずだからな、しっかり顔を覚えてもらってきてくれ」


 暮海さんはそこまで言い終えると、「しかし、依頼か…」と顎に手を当てて呟いた。と思ったらな、小さな笑みを浮かべて顔を上げた。


「そうだな、ついでに私から『依頼』をしよう」


 そう言うが速いか、暮海さんはデスクの上に重ねられた紙を一枚取り出し、サラサラと何やら書き始める。
 そして書き終えるとイスから立ち上がり、デスク横の壁に取り付けられているホワイトボードへ向かい、先程書いた紙をマグネットで張り付けた。


「基本的に『依頼』は、この事務所宛てに来た物を私が受け取る。今までは私一人で全て解決させてきたのだが、今後キミ一人でもできるような簡易的なものはこの“ホワイトボード”に張っていくことにする。それをキミが確認し、『依頼』を引き受け、解決してくれ」


 そう言われ、早速俺は暮海さんが張った紙を確認する。要するに、これが依頼書となる訳だ。
 え〜っと、内容は……『珈琲豆の購入』だな。場所は…書いてない?


「挨拶回りのついでだ、買う場所は自分で見つけ出してくれ。色々歩き回れば、挨拶回りもしながら聞き込みもできる。まさにキミがどれだけ探偵としての能力があるかを確かめることができる訳だ」


 なるほど、言いたい事はわかった。それなら納得できる。
 というか、コーヒー豆切らしてたんですね。なんかパシリに使われてるみたいで、あまりいい気分ではないけど…まぁちゃんとした狙いがあってのことだ。仕事だと思えば、楽なものだ。

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