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兎の決意
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第一章

                        兎の決意
 兎の三郎はいつも飼い主の絢子ちゃんにとても可愛がってもらっています。それで絢子ちゃんが大好きです。
 それで、です。いつもこう思っていました。
「僕絢子ちゃんの役に立ちたいな」
「役に立つって?」
「どうやって?」
 三郎と一緒に飼われている同じ兎の一郎と二郎が彼に尋ねます。三匹は兄弟なのです。
「絢子ちゃんの為にっていうけれど」
「どうやって役に立つんだよ」
「そう言われると」
 兄弟達に聞かれるとです。困った顔になる三郎でした。
「どうしようかな」
「絢子ちゃんいつも僕達にとても優しいけれどさ」
「大事にしてくれるけれどね」
「だから余計にだよ」
 ここでまた言う三郎でした。
「絢子ちゃんの為にさ」
「だからどうやって?」
「どうやって役に立つの?」
 また三郎に尋ねる二匹でした。
「それが問題なんだけれど」
「どうやって?」
「ううんとね」
 三郎は首を右に捻って考えました。そうしてです。
「それじゃあ」
「それじゃあ?」
「絢子ちゃんを守るよ」
 こう言うのでした。
「絢子ちゃんは僕が守るよ」
「そうするって?」
「守るっていうの?」
「うん、そうするよ」
 二匹にまた言うのでした。
「絶対にね」
「守るってどうやって?」
「僕達兎なんだけれど」
 一郎と二郎はここではこのことを三郎に言います。自分達が兎だとです。
「誰かを守るってできる?」
「爪も牙もないんだよ」
「それで守るって」
「どうやって?」
「確かに牙も爪もないけれど」
 三郎もそれは否定できません。あるのは前歯だけです。
「それでも。何とかするよ」
「じゃあ頑張って」
「そこまで言うんならね」
 兄弟達はこう三郎に言います。
「どうするかはわからないけれど」
「それでもね」
「頑張るよ。とにかくね」
 こう話してでした。三郎がまずしたことはです。やたらと餌を食べてあちこちを走り回るのでした。まずはそうしはじめたのでした。
 一郎と二郎はそれを見てです。また言うのでした。
「あのさ、それ何?」
「何してるの?」
「鍛えてるんだ」
 三郎はそうしていると答えます。
「身体をね」
「鍛える?」
「どうして?」
「絢子ちゃんやお母さんが観てるあれ」
「ああ、テレビか」
「テレビだね」
「あれでやってたんだ」
 そのテレビからだというのです。
「鍛えれば強くなるってね。ずっと前にやってたの思い出して」
「それで今鍛えてるんだ」
「そうだったんだ」
「うん、そうなんだ」
 こう兄弟に答えます。
「それでね」
「うん、それで」
「鍛えてそれからは?」
「強くなるんだよ」
 また兄弟
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