暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第196話 其々の告白
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冥界の女神】

 強い意志を持つ者に相応しい、と そう言われた銃。その優美なラインをなぞった。最初で最後の相棒だと決めている銃だ。

「好きになる事ができた。……だから、思ったんだ。この世界で一番強くなれたら、きっと現実の私も強くなれるって思った。……得られる物は少ない、ってあんたは。……リュウキは 言ったけどね」
「……そう、だったな。……悪い」
「いや、良いのよ。……実際に、一番になれなかったから」

 シノンは 苦笑いをしながら、リュウキにそう言っていた。キリトは、この時シノンが直接リュウキの事を名前で呼んだんじゃないか? と思ったが、今は決して口にはしなかった。

「……そして、死銃を見て、アイツを見て、すごく怖くて、発作が起きそうになった。……いつの間にか、《シノン》じゃなくなって、現実の私に戻っていた……。だから、逃げる訳には行かない。だから、私も、アイツと戦わないとダメなの。……リュウキがダメって、止めてって言ったけど、それだけは聞くわけには行かないの。戦って、勝たないと……シノンがいなくなっちゃうから……」

 両手でぎゅっと身体を抱いた。

「死ぬのは、そりゃ私だって怖い。でも……でもね、それと同じくらい、怯えたまま生きるのも、辛いんだ。死銃と、そしてあの記憶と、戦わないで逃げちゃったら、私はきっと前よりも弱くなる。普通に暮らせなくなっちゃう。……だから」

 シノンはゴメン、と言いたかった。
 何に対しての謝罪なのか、判らないけれど、つい言いそうになった。たぶん、リュウキが懇願をしていたから、と言う理由だろう。なぜ、そこまで想ったのかが、判らないけれど。

「……そう、だな。シノンが話したんだ。オレ達も、言おう。キリト」

 リュウキは、キリトの方を向いた。キリトも、その言葉に頷く。

「……ああ」

 キリトは頷くと、シノンの方を向く。

「シノン。……オレ達は、ネット用語で言うSAO生還者(サバイバー)なんだ」
「……」

 それは、半ば以上予想していた。コンバートしてきたとは言え、常人からは考えられない程の動きを見せる異常性。VRMMOが普及しだして、まだ数年だと言うのに、まるで その世界で生きている。と言える程の動きと言動だったから。

「……そして、オレ達の闇。あの死銃(デスガン)は、死銃(デスガン)達とは 互いに戦いあった間柄だ。命の奪い合いを本気でした、な」

 腕を組み、自身の脚に頭を載せているシノンにそういった。あのゲームについては、シノンでも知っている。およそ日本人のVRMMOプレイヤーで聞いたことのない者等いないだろう。一昨年から去年にかけて、10,000人もの意識をゲーム世界に閉じ込め、そして実に3,000ものプレイヤーの、……人間の命を奪っ
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