暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第196話 其々の告白
[5/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、繋ぐ為にあるんだ。……闇の中、光をさしてくれるのは、他の誰かの手。……オレがそうだった。オレも同じ、なんだ」
「ぁ……ぅ……」

 激情を話してから、間髪入れずに手を握り返してくれた事を、シノンは理解出来た。それと同時に、驚きも。


『ヒトゴロシ』


 そう告白したのに、彼は一切の躊躇もせず、驚きもせず、ただただ自分の手を握ってくれた。


 こんな人が存在するのか?
 どんな人であっても、嘘でもこんな風に接したりしない。なぜなら、これまでがそうだったから。でも……。

「は……はな、して……わ、わた……しは……」

 握ってくれるのか、と言い、そして その明確な答えを出してくれた。でも、シノンは、震えてしまっていた。

 そして、抑え用もなく、後から後から涙がこぼれ出る。泣き顔を見られる事も嫌だったけれど、その顔から視線を外す事ができなかった。仮想の顔、アバターの顔である筈のその奥底に見える本人の顔が見えた気がしたから。

「幾らでも。……っ」

 リュウキは、反射的にその身体を抱きしめた。


――自分は、どうだった?


 あの世界で、過去の闇に囚われ、そして震えていた時。……彼女はどうしてくれた?あの世界で、罪を犯し……、そして 涙を流しながら空を仰いでいた時、彼はどうしてくれた?


――……抱きしめてくれた。……手を、握ってくれた。……支えてくれた。


 だからこそ、今の自分がいるのだ。震えを止めてくれたから、今の自分がいる。目の前の少女が、それを求めているのかは判らない。それでも、何かしたかった。あの時、自分にしてくれた彼女達の様に。

「嫌い、嫌い……あんたなんか、あんたなんか、大嫌い、よ……」

 シノンは、口で嫌いだと、言いつつ……抱きしめられた身体を、完全にリュウキに預けていたのだった。









 キリトは岩陰で、話を聞いていた。
 盗み聞きをするつもりは無かったけれど、シノンの大声が聞こえてきたから、思わず引き返してきたんだ。

「………」

 目を、瞑り……岩を背にしてもたれ掛かった。

「(……リュウキに任せて正解、だったな)」

 何も知らない人が、他人の心を救うなんて事、出来る筈がない。それが、こんな異常空間であってもだ。だけど、心と心は通じ合えるモノだ。それをあの世界で学んだ。

 いままで助けてもらった。自分だけじゃなく、沢山の人たちが。……そんな彼を助けたくて、彼のことを、彼女に任せた。

『彼女から、彼の心に入っていける』

 そう思ったからだ。そして今回。……別の世界で 既視感(デジャビュ)を感じた。彼女を見て。だからこそ、今回はそうこう思ったのだ。

『アイツなら…
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ