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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第196話 其々の告白
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だけじゃない。……今までの人生の中で、他人と関わった時に向けられていたどの視線とも違う。……純粋に、自分自身をみてくれている眼だった。
だけど、それを理解した瞬間、凍った心の奥底に押さえつけられていた激情が、一気に吹き荒れた。軋む程に、歯を食いしばり、もう片方の手で、リュウキの襟首を掴みかかった。
「なら………」
慰撫を求める、心の安寧を求める弱さと、破滅を求める衝動が、今だかつて、誰に対しても言っていない激情をそのままに、リュウキにぶつけた。その眼から迸る燃え上がる様な視線を、リュウキの赤く、温かい目にぶつけ、そして叫んだ。
「――なら、あなたが私を一生守ってよ!! 何も知らないくせに……何もできないくせに、勝手な事言わないで、こ、これは私だけの戦いなのよ!! ……たとえ、負けても、死んでも、誰にも私を責める権利なんかない! それとも……」
更に、シノンはリュウキに近づいた。その銀色に輝く前髪が自身薄いブルーの前髪と接触するほどの距離。
「あなたが、一緒に背負ってくれるの!? この……」
握り締めた右手を、シノンはリュウキの目の前につきだした。それはかつて、血に塗れた拳銃のトリガーを引き、1人の人間の命を奪った手。……肌を詳細に調べれば、火薬の微粒子が侵入して出来た黒子が今でも残る手。……罪人の手。
「この、ひ……人殺しの手を……! あなたが握ってくれるのっ!」
記憶の奥底から、詩乃を罵るいくつもの声が蘇ってきた。
子供は……、時に残酷だ。教室でうっかりと、他の生徒の持ちものに手を触れようモノなら、こう言われ続けたんだ。
『触んなよヒトゴロシが! 血がつくじゃないか!』
そう、罵られ、足を蹴られ、そして背中を押された。
あの事件ご、シノンは、詩乃は自ら誰かに触れた事はない。……ただの一度たりとも、無いのだ。
シノンは、突き出した右手を見て……、ぎゅっと眼を瞑った。その手を見たら、あの銃が……黒星現れ、あの男も現れ、自分の心を砕こうとする。リュウキがいた筈なのに、あの男が目の前にまで迫ってくる。赤い血の涙を流し、ニタリ、と笑った。死を求めている様な目をして。
そんな時だった。
闇を払うように、男の身体を蹴散らす様に、すっと、光が伸びてきた。
「……幾らでも握ってやる」
眼前の男は完全に消滅し、ただ……、固く握り締めていた右手。その手を拳の上から握った。
「っ!!」
シノンは、状況を理解するのに、時間が掛かった。
ただ、すぐに判ったのはあの男が消え去ったと言う事と……そして、またあの温もりを感じる事が出来た事だ。
「手なんか、幾らでも、握ってやる! 手は、握る為に
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