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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第194話 ただ1つの選択
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未だに震えが残る両腕。
でも、それでもへカートを持つ事が出来た。多分、あの背中を見てなかったら、再びこの手に、温かさを感じてなかったら、大型ライフルであるへカートを持つ事も構える事も無理だっただろう。
――……出来る。
へカートを右肩から下ろして抱える。銃口をほんの20m程先に冷たく佇む金属馬に向けた。
この程度の距離であれば、必中距離範囲内。リュウキとの一戦で言った通り、照準を合わせなくても、スキル補正値だけで必ず命中する距離内だ。そして、あの馬には無茶な回避能力も、その金属の身体でへカートの弾丸をどうにかしようとする様な業も持ち合わせていない。
だから、トリガーに指を掛ける。……馬の横腹にぴたりとフォーカスすると、そのまま、指に力をいれ――……。
がちっ。
入れようとした時、そんな固い手応えがあった。
トリガーを引くことができなかったのだ。……いつの間にか、安全装置が掛かってしまったのか? と思える程の固さだったが、それは確認したが、なかった。それでも、まるでへカートが拒絶をしているかの様に、固く右手が跳ね返る。
「え……な、なんで……」
がちっ、がちっ。
それは何度やっても同じだった。右手に集まっていた温かささえ、飲み込まれ、一気に寒気に変わる。更に、右手の人差し指を見ると……、考えもしなかった光景があった。指が、トリガーに触れていないのだ。白い指先となめらかな鋼鉄の間には数ミリ以上の空隙が存在し、どれほど力を込めようと、……あの温かさを思い返し、氷の様に固まった指を溶かそうとしても、その隙間は埋まらない。
「……引けない、なんで、よ……トリガーが引けない……!」
自分の喉から漏れた声は、細く掠れた悲鳴だった。
まるで、氷の狙撃手であるシノンではなく、現実世界の朝田詩乃が泣き叫んでいる様だ。
……これは、当初から心の何処かで危惧していた事だった。
彼と出会って、彼の言葉を聴いて、自分の中に、この世界の自分の中に確かにいる詩乃が強く反応を見せていた事を実感していたから。もしも、その彼女が全面的に出てきたとしたら……、どうなってしまうのか? と。今回のそれは、最悪だった。
スタジアムの東側にうっすらと残るスモークの向こうに、あの男が姿を現した。
――ぁ……ぁ……っ。
シノンは声にならない声を上げる。そして、目の前が真っ白になりフラッシュバックも起こした。
そう、あの男が、銀行で……銃口を向けてきた。
そこにいるのは、幼き日の自分。そして、倒れている母と……もう1人。
『もう1人、撃つぞ! 撃つぞォォォォ!!』
甲高い悲鳴をあげながら、銃を振り
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