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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第193話 温かい背中
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の動き、その速度だけを見れば或いは、キリトをも凌駕する程のモノだと感じる。だが、この男の種はそこではない。ただ単純に、AGI極型、速度を圧倒的に上げ、目まぐるしく動き、捉えられない動きをするのではない。
巧みに、視線を誘導し、あらゆる手を使って視線を反らせる。気を反らせる。一挙一動の全てを見逃さず、まるで 他人を操っているかの様に誘導する。人間の心理を良く判っている様だ。ましてや殺し合いをする場面での極限の状況で磨き上げ続けてきた《ミスディレクション》はまさに驚嘆に値するだろう。
心理的死角、物理的死角……あらゆる角度から死を呼び寄せる《鎌》を振るう。故に、この男は《死神》と恐れられたのだ。
「確かに、オレにも、何の力もない事は認める」
死神の鎌をかいくぐりながら、時にはナイフで弾きながら、そして互いの銃を撃ち合いながら、リュウキはそう続けた。
「オレは1人じゃ何も出来ない。……1人なら、な? だが、オレは」
ククリ・ナイフが首筋に当たりそうになったその瞬間を狙って、右手に持ったデザートイーグルをナイフの腹目掛け、上部へと撃ち放った。がきぃぃん! と言う金属音と共に、ククリ・ナイフが弾かれ、宙に舞う。
「!!!」
「1人じゃない。あの時も、そして今も。……ただ、傍に居てくれるだけで、ただ見守ってくれているだけで、オレは幾らでも戦える。負けない! これは、お前達には縁のない感情だろうがな」
その直後、左手に装備していたSAAを撃ち放った。
「っ!」
SAAの一撃は胴体部への直撃こそ避けた様だが、身体を掠め、そして死神を僅かに後退させる。リュウキは、デザートイーグルがグローバックし、
弾倉
(
マガジン
)
が空になっているのを確認すると、ホルスターに素早く仕舞い、SAAを右手に持ち直した。
「く……ふっ!!」
素早く、更に後退し、追撃を回避しようとする死神だったが。
「ぐぁっ!!」
単発の銃声が響いたと同時に、死神の腹部に赤い斑点が3つ、生まれていた。
腹部を確認したのは一瞬だけだ。あの男に視線を外し続ける危険性を認識ているからこそ。だが、拭えないものは確かにあった。
「っ……!(馬鹿なっ!)」
そう、先ほどの攻撃、全力で回避をしようとした筈だった。
死の世界とも言える、SAO。……浮遊城アインクラッド。
あの死の世界で培われてきた回避術。眼前で交差される死の一撃である剣撃に比べたら、幾ら銃とは言え、この世界の鉛玉くらい難なく躱せる筈だった。事実、これまでの戦闘においても問題なく躱せたし、弾道予測線無しでも同様に躱せた。なのに、あの一撃は、躱す事が出来なかった。その上、たった一発の銃撃のはずなのに、傷が、新たな銃槍が3つ出来て
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