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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第193話 温かい背中
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ある。……そこで合流するぞ」
「ああ」
頷くと、キリトはシノンを抱き抱える。シノンは突然の決まった事に、納得出来る訳も無い。
だが、なかなか言葉も出てこなかった。
キリトが背を向け、ビル孔から抜け出るタイミングを図っていた時。
「敵は2人いる。……1人抜けられる可能性が高い。……頼んだぞ、キリト。……行けっ!!」
そう言うと、同時にリュウキはデザートイーグルの引き金を絞った。ずがぁん! と言うけたましい銃声が合図となり、キリトは走っていった。
キリトに抱えてもらいながらこの場を離れる時、シノンは必死に声を上げた。
――もう、いいよ。置いていって。
全身だけじゃない。意識までもが麻痺されたかの様に陥っていた。それを救い出してくれたリュウキ、そして まだ守られていると言う実感を改めて感じて、シノンはそう言っていた。
リュウキが、死ななかったのは、たまたまかもしれないし、遅延が発生しているのかもしれない。いや、それ以上に撃たれたのは別の男の銃だったのかもしれないのだ。
だから、絶対に死なない事は無いかもしれないから。過去から来る弾丸、凶弾だと錯覚してしまっている彼女は、あの場にリュウキ1人を残すくらいなら、自分もここにいる、と強く思っていたのだ。
だが、今の自分には何も出来なかった。
……キリトに、運ばれる事しか。
そして、キリトが駆け抜けていった事は、敵側、死銃と死神にも判っていた。幾ら煙で視界が塞がれたとしても、走る事で生じる気流の変化とまで言える煙の流れまでは消せる事は出来ない。故に、そこに狙いを定めていたのだが。
「ちっ……」
それをさせなかったのが、リュウキの一撃だ。煙で見えていないのはお互い様な筈なのに、レア度は低い、市販と言っていい自動拳銃だというのに、カスタマイズされて、強力になったとは言え、命中補正が向上した訳ではないのにも関わらず、正確に狙いを定めてきており、動けなかったのだ。
「正直、こんなに早くに第2ラウンドをするとは思ってなかったなぁ……まぁ 良いか。なぁ?」
「くく……」
軽く
死銃
(
デスガン
)
の肩を叩くと、
死銃
(
デスガン
)
は頷き駆け出した。どうやら 二手に分かれる行動に出た様だ。
それを視て、再び銃弾が飛んでくるが、
死銃
(
デスガン
)
はその弾丸をかいくぐり、そして死神は銃を再び乱発する。行かせまいと、デザートイーグルを、そして早撃ちが可能なSAAを多様し、牽制することで、暫くは抑え付ける事が出来てはいたが、この都市廃墟のメインストリートは如何せん、道幅が広すぎる事と、遮蔽物や廃墟と化した建物が多く、それを利用されるとどうしても抜かれてしまうのは無理もない事だった。
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