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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第192話 放たれた凶弾
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シノンは、必死にキリトに追いすがっていた。
確か、以前聞いた話によると、キリトはSTR優先タイプだと言っていた筈だ。だから、数値的には大差ないと思えるのだが、こうして一緒にダッシュをしてみると、たなびく黒髪を追いかけるのに必死にならざるを得ない。
「……あのバギーレースじゃ、負けてたけど ダッシュなら、《フリーランニング》なら、アイツといい勝負するんじゃないの?」
何処か悔しくなってしまったのだろうか、思わずシノンはそう言っていた。
あの時、シノンはリュウキのバギーに跨っており、云わば勝者のバギーに乗っていたから、だろう。だが、明らかに他力本願だし、そんな風に言うつもりは正直無かったのだけど、……時折、キリトがちらりと振り向き、シノンにスピードを合わせている様子が、どうしても小憎たらしかったからと言う理由が強い。
キリトは、それを聴いてちょっぴりグサっときた様で、表情を険しくさせる。やはり、負ける事は悔しい様だ。でも、もう一つ思う所はある。
「……うぅん。まぁ 判らないけど。オレがアイツに勝ってる、と言うか アイツがオレに対して負けを認めてるのが、速度の領域だ、って 結構オレの事 言ってるけど、正直な所、実際どーなのか判らないんだよなぁ……」
走りつつも、頬をぽりぽりと人差し指で掻く姿、どう見ても女の……っと、今はおいておこう。
「……判んないってどういう意味?」
シノンはそれが気になった様だ。キリトは、何だか煮え切らない答えを言っていたから。
「……いや、何と言うか……、アイツが口で幾ら『全力だ』って言ってても、本当の本気。100%中の100%。……そんなのをアイツは絶対に持ってるんだよな。……オレとの勝負の時、それを使ってるのかどうか、っていうのが判んないんだ。だから 仮に勝てたとしても、ちょっぴり悔しさだってあったりする。と言うか、それ結構多かったりしたかも」
最後の方は、キリトは苦笑いをしていた。
だが、それは恐らくリュウキ本人もキリトと同じ事を言うだろう。2人の考えは……本当に似ているから。
「………」
何だか、シノンはその言葉を聞いていて、《ライバル》だと言うより、《憧れ》に近い様に感じた。
憧れているからこそ、その彼の力を大きく、大きく自分の中で作っていて、だから 現実と一致しなくなるのでは? と。
だけど、本当に彼が力を出し尽くしていないかもしれない。と言う感覚は、判らなくもない。
――……底が見えない。
色んな世界の物語で、それらはよく聞く言葉だ。だけど、実際に体感し、感じる事になるとは夢にも思わなかった。そんなのは、フィクション。……物語の中だけのものだと思っていたから。
でも、彼を見
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