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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第186話 届かない言葉
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『でねー。リューキ君がいない内に、「魔法スキルあげるんだー! 追いつくんだー!」って頑張ってるんだよ? リタちゃんは!』
それは、BoB本戦開始4時間前の事。
和人とも連絡を取り合い、とりあえずかなりの余裕を見て3時間ほど前にダイブしよう、と決めていたのだ。各々の考えや推測、そしてBoB本戦の事、あの
死銃
(
デスガン
)
の事を打ち合せる為に。
死銃
(
デスガン
)
、と馬鹿正直なアバター名にしていれば話は早いのだが、あれもそれ程馬鹿じゃないだろう。現実で死に至らしめる黒い銃のカラクリについても、まだ判明しきれていない面が多い。可能性としては、幾つか上がっている。だがどれもが100%じゃない。
まだまだ、確かめなければならない事がある。……過去と向き合う為に。
そんな時、だった。
携帯端末がメロディを奏でた。聞くだけで心が穏やかになる曲が奏でるそれは、心地よい浮遊感さえ感じさせてくれる程だった。
『……安心です。とても』
隼人の横で見ていた綺堂はそう呟き、微笑んでいた。着信相手が誰なのか、判ったから。……隼人も笑顔を見せてくれたから。
――……本当に必要な時、心が折れそうになった時。大切な人は、意図せず傍に来てくれる、声が訊かせてくれるものだ。
綺堂は 笑顔で答えている隼人を見て、そしてきっと、電話の向こう側にいる笑顔の彼女を感じて、改めてそう思うのだった。
「ははは……、でも なんだってリタは、そんなにオレと張り合うんだか……な? 魔法の事になると、ほんとに目の色変わるんだから……」
隼人はそう呟く。
今考えれば、リタのそれは、SAO時代、それもβテスト時代のキリトの比ではない、と思える。キリトもβ時代は特に張り合ってきていたと記憶しているから。デス・ゲームとなった時は、流石にそこまでは無かったが。
その愚痴りを聞いたレイナは更に笑う。
『えーだってさー? リュウキ君だけなんだもん。リタちゃんの様に魔法スキルがすっごく高いのは。 私達のパーティって殆ど
戦士
(
アタッカー
)
タイプだからねー。 魔法と言えばお姉ちゃんもだけど、お姉ちゃんなんかさ? ヒーラーなのに接近しまくりなんだよ??』
「……まぁそうだな。だけどそれ、レイナが言っていいのか?」
『むーっ、リューキくんっ! それ、ってどーいう意味!』
「聞くって事は判ってるって事、だな? ……そういう意味で間違いないよ」
玲奈と電話を続けながら、腰を掛ける隼人。
今、コンバートしている為、隼人や和人が知りえぬ今のALOでの状況を教えてくれているのだ。……といってもまだ数日程度だって思う。だけど、玲奈の話を訊くと 本当に毎日楽しそうであり、とても勿体無い想いも何処かしていた隼人だ
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