暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第186話 届かない言葉
[7/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
へ。


 隼人を見送った後、綺堂はゆっくりとした動きで机に置かれたもう1つの装置、アミュスフィアを手にとった。

「……渚さん。少しの間だけ行ってきます」
「はい。判りました」

 これは以前に隼人と打ち合わせていた事でもある。注目は圧倒的に、キリトとリュウキの2人に向いている。……彼らを見る無数の眼に紛れ込んでくる可能性がある。そこまで簡単に尻尾を見せるとは思えないが……、それでも 外の風通しは良くなっている筈だ。

「BoBが始まる頃には、戻ります。……それまでに、確かめてきます」

 綺堂はそう言うと頭をアミュスフィアで覆い、そして大きめのリクライニング・チェアーに腰をかけた。彼のスタイル、と言っていいだろう。休息を取る時の格好はいつもこの体勢だから。

「……リンク・スタート」

 それは、ほぼ同時刻。4人がまるで示し合わせたかのように、あの世界(GGO)に入るのだった。












〜グロッケン市街〜


 ここは、市街を中央に貫く大通りの北側。
 総督府タワー前の広場にシノンは出現していた。いつもであれば、あまり人影のないエリアだけれど、今日は違う。無数のプレイヤー達が詰めかけており、飲み食い、大騒ぎをしているのだ。

「……ま、これから始まるのを考えたら、当然か」

 シノンはまるで興味なさそうにしていた。……当然、全てはこれからの為に、全てをかけるのはこれからだから。

「……ふんっ」

 鼻を鳴らした理由、それはあのトトカルチョ、倍率を表示されたホロウ・ウインドウを見たからだ。自分のオッズは随分と高倍率。……そして、あの2人も同様だった。自分も含め、間違いなく最強の敵と見定めた相手が揃って大穴だという事実。それが気に入らなかった様だが、……限りなく気にしない様にした。それらの余計な思考が目的意識の純度を鈍らせると感じたからだ。

 そして、シノンは精神集中でもしていようと、総督府の建物に向かっていたところで声をかけられた。

「シノン!」

 GGOの世界でこんなふうに声をかけてくるプレイヤーは1人しかいない。現実でも友人だから。そして予想に違うことなく、そこにはシュピーゲルがいた。

「遅かったじゃない。心配したよ。―――どうか、したの?」
「ううん、何でもない。……ついさっきリアルで会った人とすぐこっちで顔を合わせる乗って、何だか妙な感じだな、と思っただけ」
「そりゃあ、現実の僕はこの世界の身体よりカッコよくないけどさ。そんなことより、どう? 勝算は。作戦とかある?」
「勝算、って言われても、がんばるだけ、としか言えないよ。基本的には索敵・狙撃・移動の繰り返しだと思うけど」
「そりゃそっか。でも、僕は信じてるよ。……
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ