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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第186話 届かない言葉
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へ。
隼人を見送った後、綺堂はゆっくりとした動きで机に置かれたもう1つの装置、アミュスフィアを手にとった。
「……渚さん。少しの間だけ行ってきます」
「はい。判りました」
これは以前に隼人と打ち合わせていた事でもある。注目は圧倒的に、キリトとリュウキの2人に向いている。……彼らを見る無数の眼に紛れ込んでくる可能性がある。そこまで簡単に尻尾を見せるとは思えないが……、それでも 外の風通しは良くなっている筈だ。
「BoBが始まる頃には、戻ります。……それまでに、確かめてきます」
綺堂はそう言うと頭をアミュスフィアで覆い、そして大きめのリクライニング・チェアーに腰をかけた。彼のスタイル、と言っていいだろう。休息を取る時の格好はいつもこの体勢だから。
「……リンク・スタート」
それは、ほぼ同時刻。4人がまるで示し合わせたかのように、
あの世界
(
GGO
)
に入るのだった。
〜グロッケン市街〜
ここは、市街を中央に貫く大通りの北側。
総督府タワー前の広場にシノンは出現していた。いつもであれば、あまり人影のないエリアだけれど、今日は違う。無数のプレイヤー達が詰めかけており、飲み食い、大騒ぎをしているのだ。
「……ま、これから始まるのを考えたら、当然か」
シノンはまるで興味なさそうにしていた。……当然、全てはこれからの為に、全てをかけるのはこれからだから。
「……ふんっ」
鼻を鳴らした理由、それはあのトトカルチョ、倍率を表示されたホロウ・ウインドウを見たからだ。自分のオッズは随分と高倍率。……そして、あの2人も同様だった。自分も含め、間違いなく最強の敵と見定めた相手が揃って大穴だという事実。それが気に入らなかった様だが、……限りなく気にしない様にした。それらの余計な思考が目的意識の純度を鈍らせると感じたからだ。
そして、シノンは精神集中でもしていようと、総督府の建物に向かっていたところで声をかけられた。
「シノン!」
GGOの世界でこんなふうに声をかけてくるプレイヤーは1人しかいない。現実でも友人だから。そして予想に違うことなく、そこにはシュピーゲルがいた。
「遅かったじゃない。心配したよ。―――どうか、したの?」
「ううん、何でもない。……ついさっきリアルで会った人とすぐこっちで顔を合わせる乗って、何だか妙な感じだな、と思っただけ」
「そりゃあ、現実の僕はこの世界の身体よりカッコよくないけどさ。そんなことより、どう? 勝算は。作戦とかある?」
「勝算、って言われても、がんばるだけ、としか言えないよ。基本的には索敵・狙撃・移動の繰り返しだと思うけど」
「そりゃそっか。でも、僕は信じてるよ。……
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