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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第186話 届かない言葉
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転がった。
現実世界での忘れ物はもう何もない。
学校の課題、宿題、携帯端末、家の戸締り……etc、それらのアレコレを全て排除する用意も万端。そして頭にアミュスフィアを装着し、部屋の照明を落とした。部屋の薄い闇の中。詩乃は天井を見上げながら自分自身が倒すべき相手の顔を浮かべていた。数多くいる相手、もちろん以前の大会で自分より上位に位置するプレイヤー達も出てくる。そして、最後に現れたのが、あの2人組だった。
艷やかな銀色の髪を束ねた男と同じく艷やかな黒髪を靡かせている男。
天井に写された彼らは不敵な笑みを浮かべていた。詩乃はそれを見た瞬間、体の奥底に、闘志の火が点った。
――彼らが、あの男たちが間違いなく最強の敵。……探し求めた最強の敵。
詩乃は強くそう想う。その相手を打ち破る事で、忌まわしい過去を打ち破る力を与えてくれる。……それが、最後の希望。全力で戦って、そして絶対に倒す。
「リンク・スタート!」
その声には先ほどの炎が、闘志が宿ったかの様に、普段よりも随分と大きな声がこの部屋に木霊したのを詩乃は感じるのだった。
〜竜崎家〜
時刻はまだ17時も回っておらず、BoBが開催される時間までまだまだ時間はあった。だけど、限りなく早くあの世界に入る必要がある。もちろん、和人との打ち合せもあるし、死銃の事についての考察もある。
――今大会で、恐らくは仕掛けてくるのは間違いない。
隼人はそう確信をしていた。何故なら、あの場に姿を現しただけでも十分な説得力がある。……殺す、という物騒な単語を使った所を見ただけでもそうだろう。
そして、死銃のする行為については、幾つかの条件があると言う事も状況から推察していた。
その1つが、死銃が言った『いつか、殺す』と言う言葉。
いつか、即ち今は殺さない。……なぜか?もっと大きなステージで、注目されながら、殺したい。と言う理由も判らなくもない。だが、相手は笑う棺桶 の残党だ。……殺せる時に殺す。一切の躊躇もせずに、計画を練って殺す。狂気じみた集団なのだ。
以前、綺堂が死銃に接触した時も、そうだった。死銃は撃たなかった。つまり、それが撃たなかったのではなく撃てなかっただとしたら?
「………」
可能性は高いだろう。
「爺や、渚さん……宜しく頼むよ」
隼人の言葉を聞いて、綺堂も渚もしっかりと頷いた。現実世界でも、しっかりとサポートをする為に。
「リンク・スタート」
隼人は、目を瞑りあの言葉を口にした。自分の、自分達の闇。元々持っていた闇とは違う新たに生まれた闇。それに向き合う為に。
剣の変わりに、銃を握って……《
銃の世界
(
GGO
)
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