暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第186話 届かない言葉
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思った。
 でも、やっぱり戦いの前だから、と詳しくは聴かなかった。……多分、見たら直ぐに判ると思ったから。何だか楽しそうな事が、ある気がした。

 リュウキにとって楽しいか? と聞かれたら、……判らない。それと同じ、いやそれ以上に不安な所もあるけれど。

 レイナ自身が最後に言う言葉は、決まってる。

『リュウキ君。……頑張ってね!』

 精一杯応援をする事だ。

「……ああ、頑張る」

 リュウキも力強く頷いた。
 本当に、力をくれたから。……離れていても、会えない時もずっと。……ずっと。







 心の葛藤。痛み。……それらに苛まれていたのは勿論隼人だけじゃない。彼の親友であり、あの世界での戦友、和人もそうだった。

 死銃(デスガン)と出会い、かつて自分が斬り捨てた相手を、鮮明に思い出させた。1年もの間、綺麗に忘れていた事を悔いていた。

 和人がキリトとして、あの世界へとダイブする為に、身体を預ける場所は病院。




〜千代田区お茶の水病院〜


 和人の事、身体を世話してくれるのは安岐ナース。和人が自宅を出る前にメールを入れておいたので、もう昨日と同じ病室で待機していてくれた。

 そこで、和人は身の内を晒した。

 あの時、リュウキの前では飲み込んでしまった言葉を。彼も同じ想いをしているから。それは共有するものではない。


――……甘えてはいけない。自分よりも深い闇を抱えている男に。


 和人の中ではそういう想いもあった。
 言えば、きっと隼人は怒るだろう。……それでも、そう思ってしまうのは仕方がない事だったんだ。これまで、何度も救ってくれているから。それもお互い様だ、と言われるかもしれないけれど。とどのつまり、和人も隼人も想いの根幹は同じ方向に向いているのだ。

「オレは、とんでもない人でなし、なんです」

 和人は安岐にそう告げた。安岐は、どうして、と問いかける。その問いかけ瞳から視線を逸らし、両足の間の床に落とした。


――……自分はSAOの中でプレイヤーを、人を3人も殺してる。


 その独白、嗄れた声は病室内に低く響いた。反響音となって、自分の耳にも戻ってきている様だった。

「そのことを、ずっと、ずっと、綺麗に忘れて……。そして僅かに、思い出したと思ったら、身体の芯から震えて動けなくなって……、その上自分よりもずっと辛く苦しい葛藤を、闇を。……苦しみを、ずっと背負ってきたアイツに、酷い事まで言って……」

 和人はそう続けた。隼人がそういう風に思っているとは、和人も心の中では思っていない。

 だけど、それでも自分自身ではそう思ってしまう、酷い事を、無神経な事を言ってしまったと、思い後悔もしてしまう
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