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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第185話 温もりの違い
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っている。




――あの時の彼の瞳はどうだった?





 何で、ここで彼の事を。……あの男の事を思い出してしまうのか、判らない。
 ただ、目の前の恭二の眼とあの時、対戦した時。……肩で息をしつつもしっかりと見た眼を比べてしまっていた。





――何で、こうも違うの?





 どちらの手も確かに暖かい。だけど、根本的な 何か(・・)が 違っていたんだ。それを、その機微を感じたのだ。

「い、いつもの私、って言われても……」
「朝田さんて、いつもクールで、超然としててさ、何にも動じなくて、僕と同じ目に遭ってるのに、逃げたりしてないし。……とても強いんだよ。すっごく。朝田さんのそういうとこ、ずっと憧れてたんだ。僕の……、理想なんだ、朝田さんは」

 恭二の熱気に気圧される。
 やっぱり、違う。……全然違う、と詩乃はこの時強く想った。身体をひこうとするけど、背中にあたるのは遊具の1つのブランコの鉄柱。それ以上そうさせなかった。

「で、でも……」

 詩乃は、この時認めなかった。現実世界での弱い自分の事を、知っている筈だから。……だけど。

「シノンは違うじゃない。シノンはあんな凄い銃を自在に操ってさ。……最強のプレイヤーの1人じゃない。僕はあれが朝田さんの本当の姿だと思うな。……だからこそ、心配なんだ。動揺したり怒ったり。……あんな奴らの事で」

 恭二の言葉の最後には、悪意の様なモノも含まれていたが、それ以上に気圧されている詩乃には伝わって無かった。

「僕が、僕が力になるから……」


――でもね、新川君。


 わずかに視線を逸らす詩乃。


――私だって、ずっと、ずっと昔には普通に泣いたり笑ったりしてたんだよ。


 心の中で呟く。そして、無意識に比べてしまった彼の事も、恭二の後ろに見据える。


――……なりたくて、今の私になったわけじゃない。私だって、1人じゃなかった事だって……ある、あるんだよ。


 1人で強くなる事を望んだ詩乃……シノン。だけど、あの戦いの時に、彼から言われた言葉、聞いた言葉を思い返した。


――もしかしたら、もしかしたら心の底では、もっと普通に友達と笑い合ったり騒いだりしたいと思ってる?


 そうも、チラリと頭の中によぎっていた。だから、初心者の少女を見かけた時、通常のシノンからは考えられない程あれこれと世話を焼いたし、驚きの技術を見せた少女を見た時、思わず興奮して声をかけた。……そして、その中身が男達だと知って怒りもした。

 恭二の気持ちは素直に嬉しい。……嬉しいんだけれど、やはり違う。何処か気持ちの照準がずれているように思える。感じるモノも違うから。

「朝田さん……
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