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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第185話 温もりの違い
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「……朝田さんが怒ってる所も久しぶりに見た気がするよ」
恭二はその視線をみてそう言った。
あの遠藤達に向けられた視線は心底侮蔑したモノであり、怒りとか、そんな次元じゃないのだ。
詩乃は、その言葉を訊いて、心の中では否定する。怒っているのではない。……ただ、自分の感情が、気持ちが判らないだけだ。日頃、他人と積極的に関わろうとすることなど、恭二の言うように皆無だし、あの遠藤達についても、彼の考える通り。煩わしさ以外の感情などエネルギーの無駄だと切り捨てている。
そもそも、詩乃には他人のことを考えている様な余裕など、無いはずなのだ。だけど、あの男達のことはどうしても考えてしまう。癇に障ったり、判らない感情に困惑したりと散々だ。あのBoBの予選が終了し、24時間経っていると言うのにまだ意識の何割もを占領し続けている。
「……私、怒りっぽいのよ。これでも」
詩乃は恭二にそう返した。
つま先がぎりぎり届く場所からわざわざ小石を引き寄せ、植え込むに向かって思い切り蹴り飛ばしながら。
「ふぅん。……そうなんだ。そうだ、ならさ」
恭二はじっと詩乃を見ていたが、やがて思いついた様に勢い込んでいう。
「どっかのフィールドで待ち伏せて狩る? 狙撃がよければ囮はやるし……、確かに朝田さんが言う様なプレイヤーだから相当強そうだけど、超長距離からの狙撃と僕の敵意無しの囮があれば……いけると思うよ? 更にそれでもダメなら腕のいいマシンガンナーたちを集めて……」
突然の恭二の提案に呆気に取られる詩乃。あれこれとPKプランを考え、まくし立てる恭二の言葉を右手を上げて遮る。
「え、えっとさ。……ううん、そういうんじゃないの。正直、2人ともムカつくけど、片方はバカ正直、片方は同じ意味だって思うんだけど、超正統派。 ……なら、私もフェアな条件で、堂々とぶっ飛ばしてやりたいのよ。 片方には負けたけど、あのセクハラやろーにはまだ負けてない。 2人の異常な戦闘時間で、プレイも目に焼き付けてるし。 幸い再戦、対戦も出来るし」
そう言うと、詩乃は度なしメガネのブリッジを押し上げながら、スカートのポケットから携帯端末を取り出した。時刻を確認する為だ。
「あと3時間半でBoB本大会だわ。 その大舞台で今度こそ……」
詩乃は右手の人差し指を真っ直ぐに東の空に向けた。照準線の先に、登り始めた赤い月を捉えて。
その月に浮かべた顔は、一体どちらの顔だろうか?
まるでルーレットの様に入れ替わる2人の表情。2人とも、そのアバターがどう見ても女の子にしか見えない。
リュウキが言っていたが、あのM型アバターは《ナンタラ番台》、 それは《9000番台》と呼ばれているそうだ。ぱっと見て完全なF型。 しかも
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