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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第185話 温もりの違い
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 最後には、周囲に石が無くなった為、行為と文句を中断した。

「それって、黒い戦闘服の方のコ……じゃなくて、男だよね?」
「え? あ、ああ そうよ。その通り。 ……あいつが決勝まで来てたら、脳天すっとばしてやるって思ってたのに。……アイツが来たから」

 最後の方で、言葉を濁す。
 そう、彼の事となれば、なぜかイラつく理由が判らなくなってしまうのだ。確かに色々とある。……キリトの行為を黙認していた事もそうだし、屁理屈を言う事もそうだ。だけど……、実害は? と聞かれれば殆ど無い、ゼロと言っていい。


――なのに、なぜこんなに考えるのだろうか?


 詩乃がそう考えていた時、恭二が彼女見ていた事に気づいた。驚いた様な気がかりなような、微妙な表情で。

「……なに? 新川君」
「いや……珍しい、と言うより初めてだから。……朝田さんが他人の事をそんなに色々言うの」
「え、……そう?」
「うん。朝田さんは、普段、あんまり他人に興味ないって感じだから……。それと」
 
 恭二は、詩乃に完全に身体を向けた。表情は少なからず真剣味を帯びている様だ。

「それと、あの、《リュウキ》って人の事となると、何だか口ごもる、よね? ……何かあったの? 彼の事」

 恭二が、更に気になったのはそちら側。勿論、詩乃が他人の事にそこまで関心を示している事にも十分に驚きの事だ。……初めて見たのだから。だけど、それ以上に、……あの男が気になるのだ。

「い、いや……アイツは、その……」

 詩乃は視線を逸らす。
 何か、何かを言わなければと画策していた時、ある事が浮かんだ。この気持ちとは、関係無いのは間違いない。だけど、他人が訊けば、理由になるであろう事が。

「えっと、……新川君も知ってるよね? 以前、私があの銃、へカートを手に入れた時の事や、一時共戦した初心者狩りスコードロンの事」
「え……? あ、あー。うん。……朝田さんみたいな強いプレイヤーを打ち破ったプレイヤーの事? 名前は、知らないんだけど」

 恭二はそういった。
 以前に色々とそのことは彼女から聞いていたのだ。リベンジマッチをしたいと思っていた詩乃は、所属しているスコードロンや時間帯などの情報を恭二に求めた。……だが、プレイスタイル同様に、その部分もその男は神出鬼没であり、判らなかった。

「そ、そう。……その男、アイツ、リュウキって人の身内なんだって」
「……へ? えええ!」

 恭二は突然のカミングアウトに驚きを隠せられず、思わず叫び声をあげていた。……周囲に誰もいなかった事が幸いだ。

「そ、そうなんだ。……それなら何だか、妙に強いのも何処か納得しちゃうね」
「………うん」

 詩乃は、頷くと、視線を細めた。睨みつける様に。


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