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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第185話 温もりの違い
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 そして、暫くしての事。

 竜崎家に来訪者が来た。ベルがなり 綺堂が迎えた。来訪者は、先ほど綺堂が言っていた人物。

 防衛省の《姫萩(ひめはぎ) (なぎさ)》だ。

「いらっしゃい。今日もよろしく頼むよ渚さん」
「お邪魔します。 いえ、こちらこそ、ご協力、本当に感謝致します」

 渚も綺堂と同じく隼人の身体のケアとGGOの世界のモニタリング、監視だ。例の事件が、偶然ではないものと言う事を前提で動いている。故に細心の注意を払う必要があるのだ。


――現実世界でも、仮想世界でも。


 渚と綺堂、そして隼人を含めて、今回の件についての話し合いを行った。隼人が、ゲーム内で見た事、そして感じた事を踏まえて。

 そして、何よりも。

「今回の主犯は、……相手はオレ達と同じSAO生還者です」

 その隼人の言葉を訊いて、渚は顔色を変えた。単なる犯罪者と言うわけじゃない。仮想世界と言うもう1つの世界、異世界で培われてきた負の遺産。異世界で現実の感覚を完全に麻痺させた異常者。

「VR世界の暗黒面って言っていい存在だよ。……渚さん」
「……はい」

 渚は隼人の目を真っ直ぐに見つめた。

「多分、無理だと言う事は判る。けど、一応聞いておくよ。SAO生還者で、ギルド《笑う棺桶》に所属していた者を全員リストアップする事は可能ですか?」

 隼人が提案したのはそれだった。あの世界で、自分を《鬼》と形容した以上、あの死銃を名乗る男が、笑う棺桶だと言う事は明確だ。

 ……鬼とは、笑う棺桶のメンバーが着けた異名。

 あの赤く光る眼を全面に向け、奴らに刃を向けたあの姿。何人もの笑う棺桶のメンバーを斬り、時には貫き……、見た通り、全てを叩き潰した。見た目だけではなく、人とは思えぬ鬼の所業から表現された、と言う事でもある。……リュウキ以上に非人道的な真似をした者達からは、考えられないモノだと、当時は皆が思っていた。


――他人にするは良いが自分は被ると言った所だ。


 だが、中には最後まで足掻く者はいた。HPバーが注意から瀕死に変わっても、その狂気の眼を変えない者達もいた。……乱戦の最中もう選択は1つしかなかった。命を奪う事。

 隼人は当時の事を思い出し、表情を暗めていた。そんな彼の事を見ながら、渚は答える。……首を横に振りながら。

「不可能……です。仮想課と称している、総務省のデータベースには、SAOプレイヤー達のデータは、本名、キャラクターネーム、それに最終レベルだけなんです。所属ギルド名やその……殺人の回数は一切判らない。……ですから、元《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》という情報だけで、現実の所在氏名までは……」

 隼人はそれを訊いて、軽く頷いた。

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