解かれる結び目 13
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床に倒れたアルフが、目を見開いて私を見てる。
真横から脇腹に手を突き刺したレゾネクトが、きょとんと瞬いた。
「……あ……」
妙に長く感じた数秒を経て、レゾネクトの腕が引き抜かれる。
自分から飛び込んだのに、驚きのほうが勝って、違和感はあっても痛みはあまり無い。
赤い絨毯の上に転がって……大量の血液が流れていくのを感じる。
「やはり、体は人間と同じなのか」
何かに納得したらしいレゾネクトの声が聴こえる。
でも、うつ伏せで倒れた私の視界は殆ど真っ黒で、微かに見えるのは、私の腕と黒い法衣の裾と赤い絨毯だけ。
「…………！！！」
視覚も聴覚も感触も。血液と一緒に流れていく。
目蓋が重くなって、体が重くなって……なんだろう……寒い、な。凄く……寒い。アルフの腕の中はとても温かくて、暖かかったのに。
もう、戻れないんだね……。
「…………？」
ほわ……と、お腹の辺りに温もりを感じる。一点から全身へ、柔らかな熱がじんわりと広がって。暗い檻の中から、穏やかな日射しの下に連れ出されたみたい。
「……」
軽くなった目蓋をゆっくり開いて……苦しそうに眉を寄せる綺麗な顔を間近に見付けた。
「……ア、ルフ……？」
なに……なんで、そんな顔……
「……マリア……ごめん……」
「……？」
「俺は君を……護れない。でも……」
アルフの開いた瞳が、緩やかに曲線を描いた。
すっかり見慣れた、朗らかな微笑み。
「どうか……生き、て……」
……眩しい太陽が……私を照らす太陽が……
「アル……フ……」
さら……と、灰になって。
純白の光と一緒に。
真っ黒な闇に。
消えた。
「…………アルフ……？」
なんで。
どうして、アルフが。
「アルフ！？」
横向きの状態から跳ね起きた私の右手に、砂より柔らかな灰が触れる。
その感触が、全身に残る温もりを一気に凍り付かせた。
「嘘……うそよ……っ こんなの……！」
「これが勇者の生きた理由？」
すぐ近くでレゾネクトの声がする。だけど、そんなのどうでもいい。
アルフ……嘘だと言って、アルフリード。
ちょっとした冗談だって。
神々の祝福を授かっている自分が、そう簡単に死ぬ訳が無いって……
……………………祝福？
「あ……あぁ……っ！！」
神々がアルフに与えた祝福は、退魔の力と、治癒の力。
アルフが常に最良の状態で戦う為に、どんな怪我を負っても直ぐ様再生する仕掛け……だった。
「いやあぁぁあああああああああああああああああああああああああああああっっ！！！」
祝福を私に使った。
私を助ける為に祝福を使って、そして、レゾネクトに喰われた。
私を助けようと
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