2話
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本当は嫌で仕方が無いが、一応担当医に病室から出ることを伝え、目的の場所へ向かった。
ドアをノックし開ける。
ベットに腰かけ、窓の外を眺める青年は、先程見た雷門中のエースストライカーに酷似していた。
「こんばんは、優一さん」
彼は剣城優一。
エースストライカーの、兄。
ゆっくりこちらを向く優一さんは、とても嬉しそうだ。
「風間、昨日テレビは見たか!?」
おまけにテンションも高い。俺は吹き出すのを必死にこらえ、頷いた。
「もちろんですよ。おめでとうございます。弟さん、京介、でしたよね?」
「あぁ、そうだ。…必ず勝つって信じていた」
「そうですね。あー、全部見れればよかったんですけど」
「!見れなかったのか?」
「あー、いえ、その、急に検査が入っちゃって…」
まさか親と喧嘩しただなんて口が裂けても言えねぇ。
余計な心配はかけられない。
「でもあそこはよかったですよ。神童拓人が松風天馬に自信をつけさせたところ。感動しました」
「俺は京介と天馬君が連携技をしたところだ。あの京介が、まさかなぁ…」
断片的にしか聞いていないが、優一さんの足の怪我が関係して、弟さんが危ない組織に加入していたらしい。
なんだかよくわからないが、優一さんは出てけと怒ったそうだ。
あの温厚な優一さんが、珍しい。
「弟さんのこと、本当に好きなんですね」
「あぁ。自慢の弟だよ。京介は」
言いながらニコッと笑う優一さんは、とてつもなく嬉しそうで、少し、羨ましくなった。
「そういえば、風間。お前は京介の一つ上、だったよな?」
「は、はい。一応…」
「雷門中に在籍もしているんだよな?」
「まぁ、そうですね…」
行ったことはありませんけど。
とは言わないでおく。
「外出ができるようになったら、京介に話しかけてみたらどうだ?」
…え?
「あの、それは一体どういうことですか」
「どうもこうも、京介のこと好きなんじゃないのか?」
「…what?」
「ずいぶん気にしているようだったから、てっきりそうなのかと思ったが…」
「違いますよ。っていうか、そういうのって普通邪魔だてしてくるのが兄弟なんじゃないんですか」
「それは男女の兄妹の話だろう。俺はむしろ
、あの無愛想な京介に彼女ができるかどうかが心配だ」
「できるんじゃないですか?普通にかっこいいと思いますけど」
「やっぱり好きなのか?」
「違うって言ってるじゃないですか。それに…」
「それに、何だ?」
「いや、何でもありません」
学校なんて、行けるわけないだろ。
とは、言わなかった。
優一さんは、リハビリもして、もう一度弟さんとサッカーするために頑張ってる。
すべてを諦めた、俺とは違って。
「じゃ
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