暁 〜小説投稿サイト〜
妖精の守護者 〜the Guardian of fairy〜
ゴーレム
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用のゴーレムじゃないわ。リーゼ、またゼスを戦わせたでしょ?」
「うっ…………だ、だって」
「だって、じゃありません。ゼスに謝りなさい」
「うぅぅ…………」
最高に気分の良い瞬間だった。リーゼは姉に逆らうことができないのだ。普段おっとりしてはいるが、怒るとかなりおっかないのだ、この姉は。リーゼの泣きっ面を拝みながら食う飯はさぞうまかろうなぁ!
「何を笑っているの、ゼス? こんな時間まで遊びまわって……どれだけ心配させたと思っているの? ゴーレムの自覚を持ちなさい。そしてリーゼに謝りなさい」
「……くっ、なぜ俺まで」
「……バーカ」
「あっ? ざけんなバーカ」
「うんこゴーレム!」
「おねしょ女!」
「お、おねしょなんてしてないわよ!」
「してましたー! あれはそう、お前がまだちんまかった時のこと……」
「小さい頃の話なんて卑怯よ! 馬鹿ゼス!」
「なにおう! ぺったん妖精!」
「ぺっ……もう怒った! 絶対許してあげない! 謝っても絶対にリンクしてあげないから! 一生姉さんと契約してろ!」
リーゼは俺の顔面に思い切りのいい張り手を繰り出すと、そのまま自室へどすどすと地響きを上げながら入っていった。がしゃりと鍵のかかる音がすると、一瞬のうちに静寂が我が家を包み込む。
「……はぁ、どーしてケンカするのかなぁ」
「それはだな、あいつが突っかかってくるからだ」
「じっとしてて、鼻血、出てるから」
俺は冷めてしまった夕飯を食べながら、シャルの手当てを受けた。なんともみっともない姿だ。誰かに寄生しながら生きて、ご飯を作ってもらい、手当てまでしてもらう。あげく、怒鳴り声を上げ、近所迷惑極まりないときた。
「……すまん」
「どーして、それが、リーゼに言えないのかなぁ」
それは、なぜだろうな。自分でも不思議なのだが、あいつに謝ったり許しを請うのは絶対にしたくない。シャル相手ならいくらでも言えるのに。やっぱり、俺があいつを主人と認めないからだろうか。きっとそうなのだろう。
「今日のことでわかった。俺はあいつとリンクしない。あいつは、今年のアスタリア祭で俺と参加しようとしてたんだ。いきなり、ジェノスと試合を組んだときから変だと思ってたんだがな」
「アスタリア祭に……? どーしてかなぁ? あっ……」
シャルは、少し考えこんでいたが、はっと息の呑んだ。どうやら、思い当たる節があるらしい。かくゆう俺も、なんとなくだが察しはつく。
「母ちゃんだろ? お前らの母ちゃん、アスタリアの戦士だったらしいな」
「…………うん。マーテル母さんは、最強のゴーレム使いで、自分自身も優秀な魔法使いだった」
英雄、マーテル。か
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