暁 〜小説投稿サイト〜
妖精の守護者 〜the Guardian of fairy〜
ゴーレム
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の、思い、冷めないうちに伝えに行きます」

「…………行ってらっしゃい」


 仙人は、何かを諦めたように優しい眼で、俺を見送ってくれた。仙人はやっぱり仙人だったんだなぁ。俺も早くああなりたいものだ。

「君は、リーゼとシャルを見捨てるのかい?」

「……俺はそういう奴ですよ」


 突き刺さるような強い言葉が、俺の背中を襲った。
 見捨てる? そういう関係ではなかった。
 俺は、きっと駄目なゴーレムなのさ。





「どこを…………ほっつき歩いてたのよ、このボケ!!!!!!!」

「よし、決めた。ゴーレムやめる」

 家に帰るとそこには鬼が立っていた。玄関越しで寂しそうに俯くリーゼを見ていると、なんとなーく申し訳ない気持ちに、ならなくもなかったが、やっぱり気のせいでした。

「リーゼ、ご近所さんに聞こえちゃうよ。ゼス、お帰りなさい。晩御飯出来てるよ」

 それとは正反対にやさしげな声が奥から聞こえてきた。リーゼとそっくりの顔だが、体は成熟しており、大人の妖精という感じの女。シャルロッテは、リーゼロッテの姉だ。声は幾分かおっとりしており、リーゼとは正反対の性格だった。

「待て、お前ら、今日はお別れを言いに来たんだ。俺は旅に出る。自分を見つめ直すことにした」

「えええ!? 嫌だよ、ゼスとお別れなんて〜!」

「姉さん、落ち着いて。クソゴーレム、意味わかんないこと言うな。お前は私たちとリンクが切れた瞬間、死ぬのよ」

「そういって、今まで騙されてきたが、今日という今日は騙されんぞ」

 俺は堂々とリーゼに啖呵を切ってやった。リーゼは冷たい表情のまま、なにやら呪文を唱えた。やばい、攻撃されると、反射的に身をかばおうとするが体が動かない。自然に倒れこむように地面にキスをした。大地の女神、愛している。

「……ぐぉぉぉぉぉ体が、うごかねぇ!」

「……これでわかった? お前は人形なの。分かったら、謝りなさい。そうしたら、今日のことは許してあげる」

「シャル、俺とリンクしてくれ。今日からお前が、俺の主人だ」

「えっ? えっ? わ、わかった! えい!」

 死んでもリーゼになんか謝るか、という俺の捻じ曲がった根性は、シャルへ媚びるという結果に至った。みるみるうちに俺の体は生気が漲り、顔面の泥を拭い去ることができた。
 今、俺の体はシャルからの魔力を受け、動いている。つまり、俺はゴーレムをやめることができないということだ。人生に絶望した瞬間だった。

「ちょっと、姉さん!? 何でこいつのいいなりになってんのよ!」

「だ、だって、かわいそうだったんだもの……」

「全部ゼスが悪いのよ! ゴーレムの癖に勝手に行動したりするから」

「……でも、ゼスは戦闘
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