暁 〜小説投稿サイト〜
妖精の守護者 〜the Guardian of fairy〜
ゴーレム
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よ」
俺はジェノスの分厚い拳に、コツンと己の小さな拳を当てて見せた。そんなことをしても、こいつには意味など分からないとは思うが、これは気持ちの問題なのだ。
「……ふん、相変わらずヘンテコなゴーレムね。そんなことをしても、ジェノスには伝わらないわよ」
「いちいち、わかったことを口に出すんじゃねぇよ。こういうのは、気持ちの問題なんだよ。女のお前にはわからねぇだろうがな!」
「さっきからお前お前ってねぇ! ゴーレムのくせに頭が高いのよあなたは! リーゼに教育してもらってないのかしら!」
「あいにく、うるさい女と頭のいい女には従わないことにしている」
「あ、あらそう。それでは、仕方ないわね」
どう考えても前者なのだが、何を勘違いしたのか、頭の良いルーチェさんは大人しく引き下がった。これ以上、からかうのも可愛そうなので、俺が突っ込むこともあるまい。
「……私には別にいいけどね。他の妖精たちには気をつけなさいよ。妖精は皆プライドが高い。自分の名誉を傷つけられたと知ったら、決闘を申し込まれることだってあるんだから」
「そうだな。覚えておく」
「変に素直よね、あんたって。リーゼも苦労するわ――――いくわよ、ジェノス」
「はい、主様」
ルーチェの命令を待っていたかのように、ジェノスは大きな手のひらで主をすくい上げ、英雄のような足取りで去っていく。ルーチェはアホの子だが、その実力はかなりのものだ。四枚羽根といえば、もう立派な戦士の証だろう。あの若さでたいしたものだ。さぞ、血のにじむような努力をしたのだろう。
それは、リーゼも同じだ。あいつは誰よりも戦士になりたがっている。
「……そういえば、今年もやってくるわね、アスタリア祭」
アスタリア祭。そういえば、もうそんな時期だったか。
女神アスタリアはこの大陸の全ての民が信仰する共通の神様だ。どの種族も、その日は光の女神アスタリアの寵愛を受けることができる。それを祝う祭りということだ。つまり、屋台で食い放題ということだな。
だが、この村ではクソむかつく変わった風習があるのだ。
「あのゴーレムを競わせる鬼畜大会かよ。去年はジェノスが準優勝だったな」
「私と! ジェノスが、ね! とにかく、今年は妖精王もわざわざ見に来るらしいわよ。これはチャンスだわ! 妖精王の目に留まることができれば、王宮勤めを夢じゃない!」
「すがすがしいほど、欲望むき出しだな。ジェノスよ、頑張れよ」
「……はい、ゼスも」
俺は頑張っても意味なんかない。そうジェノスに言う気にもなれず、黙ったまま気合を入れる二人の姿が消えるまで見送った。
しかし、そうか。このところ、リーゼの扱きが厳しいのは、そのせいだったのか。
これは、ます
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