言葉
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めた事が無く、何らかの力を与えてくれる訳でもないので、無害なら構わないかと思って放置していたのだ。まぁ、これまで放置していたとはいえ何も変化が無かった訳では無く、何故か俺の身体が成長すると共に彼女の身体も成長していったのだが、そんな事は正直なところどうでもいい。
「あの子はどうせ起きない、放っておいても何の問題も無い。第一、今の目的はあの子ではなく、“彼女”だろう?」
「まぁ、そうではあるが……少々気になってのう……。暗黒物質といい、原種の欠片といい、ナハトヴァールといい、我らといい、“彼女”といい、教主殿は一体どれほどのものを宿らせておるのかと、疑問に思ったのだ」
「ディアーチェが把握しているのが、俺自身も把握している全てだ。運命、宿命、使命、そういった見えないさだめは分かり様がない。そんな曖昧なモノに意識を向けるより、今やるべき事に専念しよう」
そういう訳で彼女達の、あの子に対する興味はどこかへ降ろしてもらった。当初の目的を思い出した事で、俺達はここから少し離れた場所で待っている“彼女”の下へ向かう。近づいていけばいくほど、辺りの空気が重くなって凄まじい威圧感と圧迫感、そして……哀しみの気配が感じられるようになってきた。ディアーチェ達は自ずと緊張してきているようだが、気圧される様子はなさそうだった。
やがて俺達の目の前に……足元を伝ってきていた桜の根が複雑に絡み合い、繭のように包み込まれていた金髪の少女が現れる。白い服を纏う彼女の身体からは以前、ロキとの戦いで俺から発現した赤黒いオーラの翼を生やしており、禍々しい気配を漂わせていた。
ゴゴゴゴゴゴ…………!
「っ……!」
正面にするだけでわかる、圧倒的という言葉すらも生温い力量差にディアーチェは無意識に固唾を飲み、彼女の一挙一動に重苦しい緊張感を抱いてしまう。シュテルもいつもの落ち着いた様子ではなく、気圧されまいと踏ん張っており、レヴィは戦士としての勘から冷たい汗を流していたが、あえて笑顔で強がっていた。
そしてゆっくりと……蠱惑的に口を開けた“彼女”は、ある意味同じ存在であるマテリアルズの前で、初めて言葉を紡ぎ出す……!
「私もドットコムしたい!!」
「すまん、教主殿。我、なんだか頭が痛くなってきたのだが……」
「おい“U-D”、ここは圏外だ。電波が届いていないのだから、ドットコムどころかメールや電話も出来んぞ」
「ツッコむところそっちですか、教主!? そもそも誰もケータイを持っていない事を指摘するべきでは!?」
「いやいやシュテるん!? ボク達って世界を滅亡から守る決戦に挑むぐらいの心持ちで来たはずだよね!? それが何でケータイやドットコムの話になってるの!?」
「そ、そうだったんですか……残念です。じゃあサバタ
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