言葉
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以前、エレンからプレゼントされた最新式カメラのデータに、一つの写真が映し出されている。俺、マキナ、シャロン、シュテル、レヴィ、ディアーチェ……6人全員の姿が綺麗に残された、世界でたった一つの写真。個人の証明写真を印刷した後、集合写真も人数分印刷して渡すと全員大切そうに受け取ってくれた。そして俺も……絶対に失う訳にはいかない貴重品リストに、この写真を入れた……そんな時、無線機からCALL音が聞こえ出す。
周波数140.85からCALL。
『……ぜぇ……ぜぇ……、ッ……サバタ……聞こえる…………?』
疲弊しきった状態のエレンから何故か、英語ではなくロシア語の声が聞こえた。流れで一応俺もロシア語で対応しておくが、その理由もじきに話してくれるだろう。
「おいどうした、エレン? 相当息切れしているが……まさか負傷でもしたのか?」
『まぁ……確かに、左腕と右脚が……ポッキリ折れてる。正直……泣きたいぐらい、痛いわね……』
「何っ!?」
『安心して……こっちの戦いは、少し前に何とか終わってる……。……せぇ……のッ!(ゴキンッ)―――グッ!!!』
「おいおい、本当に大丈夫か!?」
『かはっ……はぁ……はぁ……今……腕の関節を戻した。でも……脚の方は完全に折れてるから、そっちはちゃんと……治療する必要があるわね』
「そうか……。だがファーヴニルとラタトスクを相手に生き残り、更に自分で応急処置したんだ。エレン……よく頑張ったな」
『ええ、ありがとう……。……すぅ〜……はぁ〜……すぅ……はぁ……、少し……落ち着いたわ』
しばらく深呼吸で息を整えていたエレンだが、無線機越しでも声の様子だけで怪我の程度がどれほど凄まじいのか察せられる。彼女の容体は気がかりだが、そんな状態でもわざわざ連絡を送ってきた理由を知るべく、次の言葉を待った。
『……戦闘が終わって、ここでは負傷者の治療が行われてる。と言っても、負傷したのは全員ラジエルの人間なんだけどね。後方支援に回ってくれた味方にできるだけ被害を出さないように、前線は常に私達が担っていたから。そんな訳で今はちょっと動けないけど、私も順番待ち。その間にあなたへ早めに連絡を送っておこうと思ったのよ』
「あのなぁ……声が聞けて安心はしたのは間違いないが、連絡は治療が終わってからでも良かったんだぞ?」
『別にいいじゃない。好いた男の声を聞きたいのは、女として当たり前だもの……』
「おい……」
『まぁともかく、あなたに報告しておきたい事があるのよ』
「待て、さっきのは冗談ではないのか?」
『当然よ。私、好意は素直に示すタイプだもの。大丈夫大丈夫、これは旧友としての好意で恋愛感情とは違うから』
「む……そうか」
『あ、でももしかし
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