§4 転校する魔王
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気配は無い。それなのに彼女は気づいたとでも言うのか。
「マジか…… いや、まさかね」
彼女の事は、後でエルに相談しよう。
「……? どうした? 水羽」
高木の声。急に調子が変わったので困惑しているようだ。
「ん、ごめんごめん」
苦笑いと共に返事をする。
「しかし万里谷さん、いつ見ても素晴らしいよなー」
「万里谷さん?」
「……あぁ水羽はまだ知らないのか。さっき廊下からこの教室を覗いていたのがこの学校のアイドル万里谷祐理さんだ。我がクラスのエリカ様と並ぶ二大美少女」
反町の解説を受けて先の巫女の名前を知る黎斗。万里谷裕理という名をしっかりと脳裏に記憶する。帰ったら恵那に聞いてみよう、同じ巫女どうし友達かもしれない、などと考えながら彼は次の授業の準備をする。
次は数学。油断禁物だ。赤点カンピオーネなぞ須佐之男命辺りに爆笑されてしまうだろう。
「マスターの気配が察知された? そんな馬鹿な。いかにその巫女様とやらが強大な力を所有していたとしてもまつろわぬ神々にすら通じる、神殺しの権能を突破できると思えないんですが」
下校時間にエルと合流し黎斗は昼の件を相談したが、エルも見解は一緒だった。では、彼女がこちらを見ていたのは偶然だったのだろうか?
「偶然にしても確率は天文学的でしょうね。マスターの外見って冴えない高校生ってカンジですし。一目惚れとかあり得ないし。現実考えたら目が合った幸運噛み締めてりゃいいんじゃないですか?」
……この狐様はいつからこんなボロクソ言うようになったのだろう? 事実っぽいのがまた反論をさせない雰囲気で少し悲しい。
「……て、ちょっとまって。マスター、”流浪の守護”弛んでます。僅か、ですが」
しばらく静かにしていたエル、突如爆弾発言。
「……へ?」
思考が止まったのは1秒にも満たない間。すぐさま感覚を研ぎ澄ませる。風船の内側から、小さな穴を探すイメージ。
???見つけた。穴を塞ぎ急ピッチで修復、他の箇所も探すが漏れている所はこの場所だけのようだ。
「……あ、大丈夫です。もう漏れてません。しかし、この程度の弛みで察知とかその巫女さん尋常じゃありませんよ」
エルの言うとおり、彼女の霊視能力は危なすぎる。下手を打てばすぐにバレてしまいそうだ。脳内要注意人物筆頭にその名を記す。
「マスター、平和ボケしすぎです。展開の仕方がいい加減だから気配が外に漏れるんです。ここは幽世とは違うんですから。……まぁ、私も言われるまで気づけなかったんですけどね」
しかしそのエルに言われるまで術者たる黎斗すら気づかなかった。安穏と過ごしすぎたか。
「今まで引きこもってたのが裏目にでたのね。あっちじ
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