解かれる結び目 12
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ど、結果としては神々の世界で眠るのと同じだ。
内側から閉めた扉は、外側からでは開かない。
私と同じ『空間』を司る力か、それ以上に強い力が無い限りは。
「隔離して、対話? 殺しにきたのに?」
「アルフは貴方を殺そうとしなかった。だから、隔離したのよ」
「理解できないな。魔王の抹殺が勇者一行の役目だろう。放棄したのか?」
「アルフは貴方の疑問に答えようとしたの。貴方と向き合おうとしただけ。彼は、向き合える相手なら殺す必要はないと思っているの。それがたとえ魔王であっても」
その優しさがアルフの強さで、弱さだった。
彼は今、コーネリアもウェルスも失って、とても悲しんでる。
護りたかった世界の欠片を目の前で砕かれて、心が悲鳴を上げている。
それでもまだ、レゾネクトとの対話を望んだ。
レゾネクトの心を助けようとしたんだわ。
でも、アルフの言葉がレゾネクトに届くとは思えない。
彼の闇は深すぎる。
あのままじゃ、アルフまで殺されてた。
私なら、いざとなれば新しい空間を作って逃げ込めるけれど。
アルフには、それができないから。
私は、貴方だけは死なせたくなかった。
どの道、傍には居られないとしても。
貴方の死だけは、絶対に見たくなかったのよ、アルフリード。
「疑問? ……ああそうだ。疑問だ。俺は何故、この……いや、あの世界に居たんだ? 貴様でも構わない。教えてくれ」
レゾネクトが、くり返し口にする疑問。
自分は何故生まれ、どうして生きているのか。
……目的が見つからないのね。
どこへ行って、何をしたら良いのか。
どこへ行きたいのか、何をしたいのか。
与えられる標も無く。
自らで獲たい物も見つからず。
ただただ強大な力だけが手元にあって。
もしかしたら、そのせいで余計に解らなくなっているのかしら。
既に強いから強くなりたいとも思わないし、欲しい物や護りたい物は? と言われても、この様子では触れたものを片っ端から壊してきたのだろう。
あっさり壊れるものに、興味を抱く余裕がなかったのかも知れない。
「その疑問には誰も答えられないわ、レゾネクト」
法衣の袖で涙を拭う。
こすれた目蓋がちょっと痛い。
「勇者は、教えると言っていた気がするが」
「そうよ。彼は教えようとしたの。貴方が見落としてきた世界を、もう一度ちゃんと見せることで、貴方自身が気付けるように。貴方が抱いた疑問は、貴方にしか解けないのよ、レゾネクト」
たくさんのものを見よう。
たくさんの音を聴こう。
たくさんのものに触れよう。
感じるのは、その目と鼻と耳と……とにかく、貴方自身のすべて。
誰かからの
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