暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
解かれる結び目 11
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
もお前らのそんな所も愛してるーっ!!」
 「「キモい!」」
 軽く肩を叩き合ってバカ笑いするのは、緊張で体を硬くしない為。
 いつもと同じで良い。いつもと何も変わらないで、そのまま行こう。
 和やかな遣り取りの裏に隠した一本の糸を感じながら、私は立ち上がり……翼を全開にした。
 「行きます」
 三人は微笑んで、私の体に触れる。
 背中合わせにコーネリアが。左手をウェルスが。右手をアルフが握る。
 此処に居るのは私の仲間。魔王レゾネクトを退ける為に集まった仲間達。だから今は、それだけに集中する。
 対峙するのは、魔王レゾネクト。世界を恐怖と絶望で震撼させている悪魔の王。
 私は……其処に私が居なくても私は、アルフの世界を絶対に護ってみせる!


 川沿いから薄暗い室内へ、景色が変わる。思い浮かべた場所に移動した。
 正面には、大きな石柱二本の間に赤い絨毯を敷いた大きな階段。段上の四角い空間には、国の紋章が縫われたタペストリーが二枚掛けられ、中心に大小二つの椅子が並んでる。
 透かさず玉座の間全体を覆う結界を張って、慎重に周囲を窺う。
 細い石柱が両端に等間隔で並んでる。壁には神々を讃える壁画。
 以前から思ってたけど、人間世界にはまだステンドグラスは普及してないのね。どの国の城も、神殿の豪華な造りには遠く及んでない。
 「……居ない?」
 「居るが?」
 三人に確認するつもりで口にした言葉は、全く知らない声が拾った。アルフの剣が白く淡い光を滲ませる。
 「……貴方がレゾネクトか?」
 私の手を離したアルフが一歩前に出て、玉座の手摺に浅く腰を下ろしてる悪魔を見上げた。
 移動した瞬間には誰も居なかった筈なのに……床を撫でる長い金髪を敷物にして、男悪魔が横目に私達を見てる。
 「レゾネクト……ああ。神々の言葉で「死を混ぜる者」って意味になるのか。面白い表現をするものだ。気に入った。それで良い」
 「……?」
 なに? 自分の名前を把握してない? そもそもレゾネクトは本名じゃないってこと? 名前が無かった?
 それに……なんだろう、この違和感。
 「貴様らが来るのを待ってたんだ。なぁ、神々に選ばれた勇者達。教えてくれないか?」
 レゾネクトが腰を上げ、階段の一番上にまた座り直した。真っ黒な法衣が赤い絨毯に重なる。
 「俺は何故、此処に居るんだ?」
 「……は?」
 暗く離れた場所でもくっきり見える紫色の虹彩が僅かに傾く。
 ……そうか。違和感の正体はこれだ。
 レゾネクトは私達に殺意を向けてない。敵意すら持ってないんだ。
 有るのは興味。純粋な興味だけ。
 「何故って……」
 「ああ、いや。この場所に居るのは貴様等が来やすいように目印的なつもりで選んだからだ。それはそうなんだが、じゃあどうして
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ