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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第百三話 春の穏やかな一日 後編
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しら?」
「ええ、どうぞ」

 そう言って士郎の隣に腰を下ろすエステート。

「先ほどはレティ提督をありがとう。
 あちらの方は一般の方だったのでしょう?」
「ええ、こちら側とは関わりのない方です。
 まあ、あの手の相手は慣れていますから、気になさらないでください」

 士郎が苦笑して、思い出すのは昔の情景。

 冬木の花見となれば、藤村組の面子が一緒なので規模が凄まじい。
 自然と士郎の酔っ払い相手のスキルが上がったのも道理である。

「そう言って貰えるなら幸いだわ。
 それにしても、こちらの世界ではこんなに大人数で集まるのが普通なの?」
「いえ、さすがにこちらの世界でもこの規模はまずないと思います」
「やっぱりそうなのね。
 でも本局でもこの規模の集まりなんて滅多にないから、局員の労いも兼ねて定期的にやるのも面白いかもしれないわね」
「それは面白いかもしれませんね」

 桜が舞い散る中で、皆が楽しみ、穏やかな時間を過ごす。
 若干、酔っ払った上司に泣かされているのもいるが平和なものだ。

 皆がこの平和な時を迎えることが出来、謳歌できるならと僅かに目を細める士郎。

 だが同時にそれが難しい事も士郎は身に染みている。

 来年、ここでまた花見をした時、誰一人戦いの中で欠ける事のない保証などどこにもない。

「……随分、眩しそうな顔をするのね」

 エステートが士郎の横顔を見つめながら、呟いた言葉に士郎は視線を合わせる。

「ええ、俺には眩しすぎる」

 士郎は再び花見を楽しむ面々に視線を向ける。
 楽しそうにおしゃべりに花を咲かせ、家族との団欒を楽しむ、士郎が守ると決めた人達。

 そして、見つめる自身の右手を見つめる士郎。

「だけど守ってみせる」

 士郎の瞳の中で自身の右手がどのように見えてたかは、士郎にしかわからない。
 だが、その紡がれた覚悟にエステートは何も言えずに見つめるしか出来なかった。

 僅かに重苦しくなった二人の空気。

 それを払うように

「一献、いかがですか?」

 士郎がエステートに差し出すお猪口。

「頂きます。
 ですが、お付き合いいただけるのですか?」
「この国では未成年者にお酒を勧めるのは違法ですが?」
「見た目の年齢が正しいとは限りません。
 私の勘でしたが、違いましたか?」

 その言葉にエステートを見つめる士郎。

 言葉通り勘ではあるのだろう。
 確証は持ってはいない。
 だがそこには士郎の事を調べ、この年齢に対する違和感という確信も持っていた。

「肯定も否定もしません。
 ですが、たまには羽目を外すのも悪くないですかね」

 士郎自身が呑む分のお猪口を取り出し、エステ
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