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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
進路の行方
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だったその《言葉》には、しかし答えるモノがいた。

―――アァ。シカモソレヤッタラ、アル程度ノ冷却時間(クーリングタイム)ァ必要ニナル。再準備ニャ、ダイタイ五分ハ貰イタイモンダ。

そもそもこの世界の日の光が弱すぎんだよ、と愚痴のように吐くそのガラの悪い《言葉》は、少年の放ったものではない。そもそもレンの声にしては低すぎる。

心に巣くう《鬼》。

とある災禍の、なれの果てであり、残骸であり、残された遺志であり、搾りかすの欠片の一片だ。

―――狂楽は?《傀儡(かいらい)》はどの程度まで有効なの?

―――オイオイ、アレノ属性ガ何カ、君ナラトックニ分カッテイルダロウ?

アッハハ、というどこか壊れたオモチャのような、耳障りな金属音を纏わせた声は、先ほどの声より幾分若い。しかし、ところどころに聞いた者を不快にさせるような毒々しい悪意が滲んでいた。

一拍置いた後、滴るような嘲笑の余韻を引きずった声は言う。

―――ヒトツノ技デ操レルノハ一人マデ。当然ソレハ彼我ノ距離次第ダ。言ットクケド、百メートル単位ナンテ、一瞬ダケ視野ニ割リ込メレバ御ノ字トイウ程度ノモノダヨ。

狂楽と少年に呼ばれた存在は、さらに続けて《言葉》を発する。

溜め息のように息を吐きながら。

自嘲するように。

―――モットモ、ソレガ精神感応系ノ心意ノ最高点……ノハズダッタンダケドナァ。目ノ前デアンナ光景ヲ見セラレルト、自分ノ常識ヲ疑ッテシマウヨ。

「……………………」

その声に、思わずレンは二の句がつけなかった。

目前の光景。

ただでさえ操作が、扱いが、何より習得が困難と言われる、精神感応系の心意を、目の前で実行された。それも、行使者が目視できないほどの距離で。

不可能だ、と理性が叫ぶのは仕方がない。

ありえない、と心が囁くのも仕方がない。

だが、事実。

一度は、予選の時と同じように自身に幻覚系の心意を施されたのだ、と思った。だが、それにしても同じように精神感応であることには変わりなく、どちらかというとあらかじめ何らかの心意を仕込んでおいたプレイヤーが倒され、なおかつそれを倒したのがレンだとスキャンで知った瞬間に発動させたのだ、と考える方がよほど良い。

もしも後者の場合。つまり予選決勝の際に掛けられた幻覚の心意技が、ログアウトを経てまでまだ残っているということは、それはもはや心意どころの話ではない。冗談抜きでシゲさんの言う、仮想と現実を超越した《仮想兵器》の可能性が出てくる。

寄生。

「――――ッ」

思わず目を細める少年は、煙る――――を通り越して霞んでいる脚の運動を、もう一段回跳ね上げようと力を込めた。

しかし。

直後。



ゴバッッ!という轟音
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