解かれる結び目 10
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んでもらって。
今も、人が居ない森奥の川辺で野営してる。
その分、悪魔達にいつ、どこから不意打ちされてもおかしくない状況だ。
そろそろ日が暮れる頃。
森奥だけあって、川沿いでも夜になれば視界は極端に狭くなる。
こんな足場が悪い所で二手に分かれたりして、大丈夫なの?
「アルフ?」
さらさらと涼しげな音を立てて流れる細い川。
その脇の、空が見える砂利道を、野営地が見えなくなるまで降って。
私の手を引くアルフが突然、ぴたりと動きを止めた。
「何に怯えてる?」
「え……」
振り返ったアルフの顔を見た瞬間、私の両肩が勝手に跳ねた。
「魔王に挑むのが、怖い?」
「っ!! 違うわ! それが怖いんじゃない! 逃げたいんじゃないのよ! 私はもう、そんなこと考えてな」
「なら、何に怯えてる?」
「……アルフ?」
橙色の真剣な目が、少しも揺らがずに私を映してる。
悪魔との戦いに挑む時のような強ばった表情で、私の手を離して……
え? 何?
どうして抱きしめるの?
「悪魔達との関わりが深くなるたびに落ち込んでたよな。怖くないのなら、どうして?」
…………あ。
「教えてくれ、マリア。君は何に怯えてるんだ?」
しまった。
私、アルフを不安にさせてる。
怯えてるのは私じゃない。
アルフだ。
「っ、ご、ごめんなさい! 私……っ」
出会った頃と比べてもたくましくなった彼の背中に両腕を回して。
きつく強く、抱き返す。
何をしてるの。
私は笑ってなきゃいけないのに。
アルフが安心して前を向いていられるように。
私だけは、何があっても笑ってなきゃいけなかったのに。
私、自分のことばっかり考えて、アルフの気持ちを置き去りにしてた。
あんなにも護りたいって思ってたのに。
私が彼を一人にしてどうするのよ!
「私……言ってなかったと思うけど、私ね。魔王を退けたら、神々と共に、こことは別の世界で眠りに就くと決まってるの」
抱きしめている体が、少しだけ震えた。
「それも神々に授けられた使命だから従うつもり。でも、その時が近付いているんじゃないかと思うと……そうよ。怯えてるの。寂しさに怯えてる」
アルフを、アルフの世界を護りたいと思うなら。
魔王討伐は決して避けて通れない。
でも、魔王を退けてしまったら、私は神々の元で眠らなきゃいけない。
コーネリアと、ウェルスと、アルフ。
貴方達と……貴方と別れるのが、寂しくて堪らないんだわ。私は。
「貴方達と一緒に旅をして予想通り怖い目にも遭ったし、予想してた以上に嬉しいことも楽しいことも実感してきた。眠るのが嫌になる
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