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迷子の果てに何を見る
第五十九話
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そしてアカペラで 三人・・が歌い出す。今まではただの腹話術だったが今度は一人で三つの声を同時に出すという離れ業をやってのける。これは魔法の同時詠唱を元にした技術だ。練習すれば意外と簡単にできる。歌い終わった後、私同様に恭助とクドと一緒に一礼して離れます。

「お疲れさま」

「あ〜、疲れる」

「三つの声を同時に出しつつ、その内の二つを変声させれば疲れるのは当たり前ですよ」

「あんまりネタが少ないんだから仕方ないだろう。それよりリーネは何をするんだ」

「見ていれば分かるわ。茶々丸、あれを」

「はい、マスター」

リーネさんの指示で茶々丸さんが大きなトランクを4つ運んできます。

「さて、次は私、リーネ・M・テンリュウのちょっとした魔法をお見せしましょう。その準備の為にそこのカップルの方、手伝ってもらえますか」

指名されたカップルがトランクを開けるとそこにはバラバラになった等身大の人形が入っていた。それを一つずつしっかりと組み上げて茶々丸さんが服と帽子を被せてステッキを持たせ椅子に座らせます。

「まず始めに、私はある業界において二つ名を持っています。その名は『二代目 人形使いドールマスター』その名が示す通りの魔法をご覧に入れましょう。It's Show Time」

その言葉と同時に人形が椅子から立ち上がり伸びをする。それから観客が目の前にいるのに気付いたのか帽子を取り優雅に一礼をする。その間リーネさんは指を軽く動かしているだけ。ちゃんと人形を操っているように。

「茶々丸」

「はい」

茶々丸さんが縄跳びを人形に渡し、椅子を退ける。

「最近、太っているみたいだからそれでダイエットでもしなさい」

そう言われて落ち込みながらも素直に縄跳びを始める。始めはゆっくりと普通に、やがて片足で跳んだり、二重跳びを始め、最終的には頭で跳んでいる。何故頭で?
動きが派手になる分リーネさんの指の動きが激しくなっていく。実はこれ、演技です。実際の所は指一本で操っています。魔力糸を一本の指から伸ばして纏わせ、それを媒介に人形を操っています。もちろん魔力だけなので実体を持たせていないので縄跳びに引っかかる事もありません。縄跳びが終わると次はアコーディオンを持たされ、踊りながら演奏を開始します。正直に言うと、これが本当に人形なのか疑問に思ってしまう程人間臭く動きます。そして、足を滑らせて手足がバラバラになります。

「はぁ〜、何やってるの。早く元に戻りなさい」

怒られて慌てて元に戻ろうとして、足と手が逆に付いてしまい変な格好になる。

「おばかさぁん」

そう言いながらも態々自分で付け直したりする所をみるとやっぱり面倒見が良いと思う。そこ
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