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迷子の果てに何を見る
第五十三話
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のオレみたいな魔法使いには、世間で言われている立派な魔法使いにはなるな』と」

「そんなことはありません。父さんはそれを誇りに思っていました。母さんだって」

反射的に手が動いた。意識していなかったから魔力や気での強化がされていなかったがそれでも鍛えた私のビンタで愚兄は壁に叩き付けられた。そこでビンタを放った事に気がついた。自分が涙を零している事にも気付いた。思っていた以上にこの世界での両親を愛しているのがよく分かった。だから今度は自分の意志で。そう思ってもう一発殴ろうとしたら零樹君に後ろから抱きしめられる。

「アリスさん、落ち着いて」

「…………」

「気持ちは分かる。でも少しやり過ぎだ」

「……私は落ち着いています」

「少なくとも無意識に咸卦法で強化している時点で落ち着けてないよ。それに気を失っている状態で殴ればさすがに死ぬと思うしね」

言われてから気付いたけど確かに咸卦法を使っていた。

「泣いている気持ちも分かる。この後も全部姉さん達に任せて今日はもうゆっくり休みましょう」

「…………はい」

「それじゃあ、僕の部屋の方に行きましょう。姉さん達は既に追撃に出てるみたいですしこれは先程の部屋にでも放り込んでおくとしよう」

零樹君があれの首根っこを持ち適当に部屋に投げ込む。一応首を折ったりしない様にはしているみたいだった。

「行きましょう」

「……はい」

部屋に着くまで何も話さず、部屋に入ると胡座をかいた上に座らされてまた抱きしめられます。また沈黙が訪れ、どれ位の時間が経ったか分かりません。

「………………私は前世で私は家族とある約束を交わしました」

「…………」

「家族を絶対に裏切らない。そんな約束です」

「……そうか」

「当時、叔父が犯罪に手を染め、それが原因で親戚間で不和が生じ私達の家族は一家離散の危機に陥りました」

「……それで、どうなったの」

「父と母は自分たちの家を捨てて一家で逃げました。そしてその時に約束をしました」

「……そうなんだ」

「その約束は私が知る限り破られた事はありません。それを私は誇りに思っていました。だからこそ、その誇りを胸に私は生きています。そしてその誇りを私はあれに対しても何回も話しました。それなのに、それなのに」

「……あれにとってアリスさんは家族じゃなかった。いえ、あれにとっての家族は空想の中にしかいないのでしょう」

「私は間違っていたのでしょうか。もっとあれと正面から話し合いを続けていた方が良かったのでしょうか」

「今となっては答えは出ません。だから今日、この場で決めてしまいましょう。アリス・スプリングフィールド
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